2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧
枕草子 第二十五段 にくきもの にくきもの。 急ぐことあるをりに来て、長言するまらうど。あなづりやすき人ならば、「後に」とても、やりつべけれど、さすがに心はづかしき人、いとにくく、むつかし。 (以下割愛) 憎らしいもの。 急用のある時にやって来て…
枕草子 第二十六段 心ときめきするもの 心ときめきするもの。 雀の子飼ひ。 ちご遊ばする所の前わたる。 よき薫きものたきて、ひとり臥したる。 (以下割愛) 心がときめくもの。 すずめの子を飼うの。 乳飲み子を遊ばせている所の前を通るとき。どちらも、…
枕草子 第二十七段 過ぎにし方恋しきもの 過ぎにし方恋しきもの。 枯れたる葵。 雛遊びの調度。 (以下割愛) 過ぎ去った昔が恋しいもの。 枯れた葵。 人形遊びの道具。 二藍染や葡萄染などのきれいな布の切れ端が本の間に挟まれているのを見つけたとき。 ま…
枕草子 第二十八段 心ゆくもの 心ゆくもの。 よくかいたる女絵の、ことばをかしうつけて、おほかる。 物見のかへさに、乗りこぼれて、郎等いと多く、牛よくやる者の、車走らせたる。 (以下割愛) 満ち足りて気持ちの良いもの。 上手に書いてある女絵の、詞…
枕草子 第二十九段 びろうげは 檳榔毛は、のどかにやりたる。急ぎたるは、わるく見ゆ。 網代は、走らせたる。 (以下割愛) びろうの葉で飾った立派な牛車は、ゆっくりと進ませているのがいい。急いで走らせているのは、見劣りしてしまいます。 網代の実用本…
枕草子 第三十段 説経の講師 説経の講師は、顔よき。講師の顔をつとまもらへたるこそ、その説く言の尊さも、おぼゆれ。 ひが目しつれば、ふと忘るるに、「にくげなるは、罪や得らむ」とおぼゆ。 (以下割愛) 説経の講師は、顔の美しい人がいい。講師の顔を…
枕草子 ちょっと一息 「神仏との距離」 清少納言が活躍した時期は、今からざっと一千年前、西暦一千年前後のことです。 平安時代の中期にあたり、藤原氏の全盛期の絢爛たる王朝文化が咲き乱れている時代ともいえます。 この頃、人々にとって、それは老若男女…
枕草子 第三十一段 菩提といふ寺に 菩提といふ寺に、結縁の八講せしに、詣でたるに、人のもとより、 「疾く帰りたまはぬ、いと寂々し」といひたれば、蓮の葉の裏に、 求めてもかかる蓮の露を起きて 憂き世にまたは帰るものかは と、書きてやりつ。 まことに…
枕草子 第三十二段 小白河といふところは 小白河といふところは、小一条大将殿の御家ぞかし。そこにて、上達部、結縁の八講したまふ。 世の中の人、いみじうめでたきことにて、 「遅からむ車などは、立つべきやうもなし」 といへば、露とともに起きて、げに…
枕草子 第三十三段 いみじう暑ければ 七月ばかり、いみじう暑ければ、万づのところ開けながら夜も明かすに、月のころは、寝おどろきて見出すに、いとをかし。闇もまた、をかし。有明、はたいふもおろかなり。 (以下割愛) 七月の頃はたいへん暑いので、どこ…
枕草子 第三十四段 木の花は 木の花は、 濃きも淡きも紅梅。 桜は、花びら大きに、葉の色濃きが、枝細くて咲きたる。 藤の花は、しなひ長くて、色濃き咲きたる、いとめでたし。 (以下割愛) 木の花は、濃いのでも薄いのでも紅梅が結構ですね。 桜は、花びら…
枕草子 第三十五段 池は勝間田の池 池は、 勝間田の池。 磐余の池。 贄野の池。泊瀬に詣でしに、水鳥の、ひまなくゐて、たちさわぎしが、いとをかしう見えしなり。 (以下割愛) 池は、かつまたの池。 いわれの池。 にえのの池、これは泊瀬(ハツセ・長谷寺…
枕草子 第三十六段 節は五月にしく月はなし 節は、五月にしく月はなし。菖蒲、蓬などのかをりあひたる、いみじうをかし。 (以下割愛) 節供といえば、五月にまさる月はありません。菖蒲や蓬などが、そろって薫りあっているのが、とても情緒があります。 内…
枕草子 第三十七段 花の木ならぬは 花の木ならぬは、 楓。 桂。 五葉。 (以下割愛) 花を鑑賞するものではない木としては、楓、桂、五葉の松。 たそばの木(かなめもち)は、気品に乏しい気がしますが、花咲く木々が、すっかり散ってしまって、あたり一面新…
枕草子 第三十八段 鳥は異どころのものなれど鸚鵡 鳥は、 異どころのものなれど、鸚鵡、いとあはれなり。人のいふらむ言をまねぶらむよ。 郭公。水鶏。鴫。都鳥。鶸。ひたき。 (以下割愛) 鳥は、異国のものでありますが、鸚鵡はとても可愛らしい。人の言葉…
枕草子 第三十九段 あてなるもの あてなるもの。 薄色に、白がさねの汗衫。 かりのこ。 削り氷に甘葛入れて、あたらしき鋺に入れたる。 水晶の数珠。 藤の花。 梅の花に、雪の降りかかりたる。 いみじううつくしき稚児の、苺など食ひたる。 上品なもの。 薄…
枕草子 第四十段 虫は 虫は、 鈴虫。 茅蜩。 蝶。 (以下割愛) 虫は、鈴虫。ひぐらし。蝶。 松虫。きりぎりす(今のコオロギ)。はたおり(今のキリギリス)。われから(藻につく虫で鳴くとは思えないが、和歌からの引用らしい)。ひを虫(かげろう)。蛍。…
枕草子 ちょっと一息 哀れなり蓑虫 第四十段「虫は・・・」の中に蓑虫が取り上げられています。 蓑虫は鬼の子で、粗末な着物を着せられて捨てられたというのです。その時親は、秋風が吹く頃には迎えに来るからと嘘を言って去っていってしまったのです。 嘘と…
枕草子 第四十一段 七月ばかりに風いたう吹きて 七月ばかりに、風いたう吹きて、雨など騒がしき日、おほかたいと涼しければ、扇もうち忘れたるに、汗の香すこしかかへたる綿衣の薄きを、いとよくひき着て、昼寝したるこそ、をかしけれ。 七月頃のこと、風が…
枕草子 第四十二段 似げなきもの 似げなきもの。 下種の家に、雪の降りたる。また、月のさし入りたるも、口惜し。 月の明かきに、屋形なき車のあひたる。また、さる車に黄牛かけたる。 (以下割愛) 似つかわしくないもの。 身分の低い、みすぼらしい家に雪…
枕草子 第四十三段 細殿に人あまた居て 細殿に、人あまた居て、やすからずものなどいふに、きよげなる郎等・小舎人童など、よき包み・袋などに衣どもつつみて、指貫の括りなどぞ見えたる、弓・矢・楯など持てありくに、 「誰がぞ」と問へば、つい居て、 「な…
枕草子 第四十四段 殿司こそ 殿司こそ、なほをかしきものはあれ。下女の際は、さばかり羨ましきものはなし。よき人にも、せさせまほしきわざなめり。 若く、容貌よからむが、なりなどよくてあらむは、ましてよからむかし。すこし老いて、ものの例知り、面な…
枕草子 第四十五段 郎等は随身こそあめれ 郎等は、また、随身こそあめれ。いみじう美々しうてをかしき君達も、随身なきは、いとしらじらし。 弁などは、いとをかしき官に思ひたれど、下襲の裾短くて、随身のなきぞ、いとわろきや。 郎等(ヲノコ・召使の男)…
枕草子 第四十六段 職の御曹司の 職の御曹司の西面の立蔀のもとにて、頭弁、ものをいと久しういひ立ちたまへれば、さし出でて、 「それは、たれぞ」といへば、 「弁さぶらふなり」とのたまふ。 (以下割愛) 職の御曹司(中宮職の役所)の西面の立蔀のもとで…
枕草子 第四十七段 馬は 馬は、 いと黒きが、ただいささか白きところなどある。 紫の文つきたる葦毛。 淡紅梅の毛にて、鬣・尾など、いと白き。げに「ゆふかみ」ともいひつべし。 黒きが、足四つ白きも、いとをかし。 馬は、真っ黒な毛並みで、ただ少しばか…
枕草子 第四十八段 牛は 牛は、 額は、いと小さく白みたるが、腹の下・足・尾の筋などは、やがて白き。 牛は、額にとても小さな白い部分があって、腹の下や、足や、尾などは全体が白いのが良いです。 牛は、牛車に代表されるように大切な家畜だったのでしょ…
枕草子 第四十九段 猫は 猫は、 表のかぎり黒くて、腹いと白き。 猫は、背中全体が黒くて、お腹が真っ白なのが可愛いですねぇ。 当時すでに猫もよく飼われていたようですが、おそらく犬よりは少なく貴重だったと思われます。 第六段の「上にさぶらふ御猫は・…
枕草子 第五十段 雑色・随身は 雑色・随身は、すこし痩せて、細やかなるぞよき。 郎等は、なほ若きほどは、さるかたなるぞよき。いたく肥えたるは、「睡ねぶたからむ」と見ゆ。 雑色や随身は、すこし痩せて、ほっそりとしているのがよろしい。 郎等も、若い…
枕草子 ちょっと一息 微妙な関係 第四十六段・職の御曹司・・、では、藤原行成との交際が描かれています。 少納言さまが二度結婚されているのは確かなようですが、そのほかにも交際が噂されたらしい人物が何人かいるようです。 当時の結婚は「妻問い婚」でし…
枕草子 第五十一段 小舎人童 小舎人童、 小さくて、髪いとうるはしきが、筋さはらかに、すこし色なるが、声をかしうて、かしこまりてものなどいひたるぞ、らうらうじき。 小舎人童は、小柄で、髪をきちんと手入れしていて、その髪の筋はさらっとしていて、少…