2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧
枕草子 第二百七十六段 きらきらしきもの きらきらしきもの。 大将、御前駆(ミサキ)遂(オ)ひたる。 孔雀経の御読経、御修法(ミズホフ)。 五大尊のも。 御斎会。 蔵人の式部丞の、白馬(アオウマ)の日、大庭練りたる。その日、靫負の佐の、摺衣破らする…
枕草子 第二百七十七段 神のいたう鳴るをりに 神のいたう鳴るをりに、雷鳴の陣こそ、いみじう恐ろしけれ。 左右の大将、中・少将などの、御格子のもとにさぶらひたまふ、いといとほし。鳴り果てぬるをり、大将仰せて、 「おりー」 とのたまふ。 雷鳴が激しく…
枕草子 第二百七十八段 こんげんろくの屏風 坤元録(コンゲンロク)の御屏風こそ、をかしうおぼゆれ。 漢書の屏風は、おぼしくぞきこえたる。 月次の御屏風も、をかし。 坤元録の御屏風こそ、詩がすばらしく興味深いものです。 漢書の屏風は、歴史が感じられ…
枕草子 第二百七十九段 節分違へなどして 節分違へなどして、夜深く帰る、寒きこといとわりなく、頤(オトガヒ)などもみな落ちぬべきを、からうじて来着きて、火桶引き寄せたるに、火の大きにて、つゆ黒みたるところもなく、めでたきを、こまかなる灰のなか…
運命紀行 上りつめた先 平安時代、摂関政治と呼ばれる政治体制で宮廷の実権を握った藤原氏は、藤原道長という傑物が登場し、その子頼通は、藤原氏の最全盛期を生きた。 その絢爛華麗な平安王朝の栄華を欲しいままにした頼通が、最後に求めたものは何であった…
枕草子 第二百八十段 雪のいと高う降りたるを 雪の、いと高う降りたるを、例ならず御格子まゐりて、炭櫃に火熾こして、物語などして、集まりさぶらふに、 「少納言よ、香炉峯の雪、いかならむ」 と、仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く揚げたれば、…
枕草子 ちょっと一息 文筆家としての清少納言 清少納言という方は、その活躍時代に文筆家としてどの程度の評価を受けていたのでしょうか。 清少納言が中宮定子のもとに仕えるようになったのには、おそらく彼女の教養の高さが、宮中や貴族たちの間に知れ渡っ…
枕草子 第二百八十一段 陰陽師のもとなる 陰陽師のもとなる小童部こそ、いみじうものは知りたれ。 祓へなどしに出でたれば、祭文など読むを、人はなほこそきけ、ちうとたち走りて、「酒・水・いかけさせよ」ともいはぬに、し歩くさまの、例知り、いささか主…
枕草子 第二百八十二段 三月ばかり物忌しに 三月ばかり、「物忌しに」とて、かりそめなるところに、人の家にいきたれば、木どもなどの、はかばかしからぬなかに、「柳」といひて、例のやうになまめかしうはあらず、広く見えて、憎げなるを、 「あらぬものな…
枕草子 第二百八十三段 宮の御仏名の 十二月廿四日、宮の御仏名の、半夜の導師ききて出づる人は、夜半(ヨナカ)ばかりも過ぎにけむかし。 日来(ヒゴロ)降りつる雪の、今日はやみて、風などいたう吹きつれば、垂氷(タルヒ・つらら)いみじうしたり。地な…
枕草子 第二百八十四段 宮仕へする人々の 宮仕へする人々の、出で集まりて、おのが君々の御事、賞できこえ、宮のうち・殿ばらの事ども、かたみに語り合はせたるを、その家主にてきくこそ、をかしけれ。 家広く、清げにて、わが親族はさらなり、うち語らひな…
枕草子 第二百八十五段 見ならひするもの 見ならひするもの。 欠伸。 稚児ども。 見てまねをするもの。 あくび。 幼児たち。 ごく簡単な内容です。 ただ、「身ならひ」とは「まねる」ということですが、「稚児」はともかく、「欠伸」は「まねる」というより…
枕草子 第二百八十六段 うちとくまじきもの うちとくまじきもの。 似而非(エセ)もの。さるは。「よし」と人にいはるる人よりも、うらなくぞ見ゆる。 船の路。日のいとうららかなるに、海の面のいみじうのどかに、浅緑の打ちたるを引きわたしたるやうにて、…
枕草子 第二百八十七段 衛門尉なりける者の 衛門尉なりける者の、似而非(エセ)なる男親を持たりて、「人の見るに、面伏せなり」と、苦しう思ひけるが、「伊予の国よりのぼる」とて、浪に落とし入れけるを、 「人の心ばかり、あさましかりれることなし」 と…
枕草子 第二百八十八段 をはらの殿の御母上 「をはらの殿の御母上」とこそは。 普門といふ寺にて、八講しけるききて、またの日、小野殿に、人々いと多く集まりて、遊びし、詩作りてけるに、 『 薪樵ることは昨日に尽きにしを いざ斧の柄はここに朽たさむ 』 …
枕草子 第二百八十九段 業平の中将のもとに また、業平の中将のもとに、母の皇女の、 「いよいよ見まく」 と、のたまへる、いみじうあはれに、をかし。引き開けて見たりけむこそ、思ひやらるれ。 これもまた、聞いたお話ですが、業平(在原業平)の中将のも…
枕草子 第二百九十段 をかしと思ふ歌を 「をかし」と思ふ歌を、造紙などに書きて置きたるに、いふかひなき下種の、うち唄ひたるこそ、いと心憂けれ。 「これは良い」と思う歌を、帳面などに書きとめておいたのに、お話にならないような下種女が、その歌を気…
運命紀行 才女の娘小馬命婦(コマノミョウブ)について詳しく知りたいと思った。平安時代には、現在に伝えられている小馬命婦は二人いる。円融院の皇后に仕えた小馬命婦については、すでに『森の下草』という見出しを付けて本稿で紹介済みである。この女房は、…
枕草子 ちょっと一息 感謝申し上げます 「ちょっと一息」ということで、枕草子を読んでいく中で、私なりに感じたことを書かせていただきましたが、このテーマは今回が最終回となりました。 「『枕草子』清少納言さまからの贈り物」というカテゴリーで連載し…
枕草子 第二百九十一段 よろしき男を よろしき男を下種女などの褒めて、 「いみじうなつかしうおはします」 などいへば、やがて、思ひおとされぬべし。譏らるるは、なかなかよし。 下種に褒めらるるは、女だに、いとわるし。また、褒むるままに、いひそこな…
枕草子 第二百九十二段 左右の衛門尉を 左右の衛門尉を「判官」といふ名つけて、いみじう恐ろしう、かしこきものに思ひたるこそ。 夜行し、細殿などに入り臥したる、いと見苦しかし。布の白袴、几帳にうちかけ、袍の長くところせきを、わがねかけたる、いと…
枕草子 第二百九十三段 大納言まゐりたまひて 大納言まゐりたまひて、詩(フミ)のことなど奏したまふに、例の、夜いたく更けぬれば、御前なる人々、一人二人づつ失せて、御屏風・御几帳のうしろなどに、みな隠れ臥しぬれば、ただ一人、眠たきを念じてさぶら…
枕草子 第二百九十四段 僧都の御乳母の 僧都の御乳母のままなど、御匣殿の御局にゐたれば、男のある、板敷のもと近う寄り来て、 「からい目を見さぶらひて。誰にかは、憂へ申しはべらむ」 とて、泣きぬばかりの気色にて、 「何事ぞ」 と問へば、 「あからさ…
枕草子 第二百九十五段 男は女親亡くなりて 男は、女親(メオヤ)亡くなりて、男親(ヲオヤ)の一人ある、いみじう思へど、心わづらはしき北の方出で来て後は、内にも入れ立てず、装束などは、乳母、また故上の御人どもなどして、せさす。 西・東の対のほど…
枕草子 第二百九十六段 ある女房の遠江の子なる人 ある女房の、遠江の子なる人を語らひてあるが、 「『同じ宮人をなむ、忍びて語らふ』とききて、恨みければ、『親などもかけて誓はせたまへ。いみじき虚言なり。夢にだに見ず』となむいふは、いかがいふべき…
枕草子 第二百九十七段 便なきところにて 便なきところにて、人にものをいひけるに、胸の、いみじうはしりけるを、 「など、かくある」 といひける人に、 逢坂は胸のみつねに走り井の みつくる人やあらむと思へば 都合の悪い所で、男と逢っていたのですが、…
枕草子 第二百九十八段 まことにや 「まことにや、やがては下る」 といひたる人に、 思ひだにかからぬ山のさせもぐさ 誰か伊吹のさとは告げしぞ 「本当ですか、間もなく下向するというのは」 と尋ねる人に、 思ひだにかからぬ山のさせもぐさ 誰か伊吹のさと…
夜まさりするもの ( 流布本のうちの一本一 ~ 一本十 ) ( 一本一 ) 夜まさりするもの。(夜の方がひきたつもの) 濃き掻練の艶。 むしりたる綿。 女は、額はれたるが、髪うるはしき。 琴(キン)の声。 容貌わろき人の、気はひよき。 郭公(ホトトギス)。…
綾の文は ( 流布本のうちの一本十一 ~ 二十二 ) ( 一本十一 ) 綾の文は、 葵。かたばみ。霰地(アラレヂ・平地と綾地の市松模様)。 ( 一本十二 ) 薄様・色紙は、 白き。紫。赤き。刈安染。青きもよし。 ( 一本十三 ) 硯の筥(ハコ)は、 重ねの、蒔…
松の木立高きところの ( 流布本のうちの一本二十三 ) ( 一本二十三 ) 松の木立高きところの、東・南の格子上げわたしたれば、涼しげに透きて見ゆる母屋(モヤ)に、四尺の几帳立てて、その前に円座(ワラウダ)置きて、四十ばかりの僧の、いと清げなる墨染の…