2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
枕草子 第百六十四段 君達は 君達は、 頭中将、頭弁。 権中将、四位少将。 蔵人弁、四位侍従。 蔵人少納言。蔵人兵衛佐。 君達(キムダチ・貴公子)の好ましい官職は、 とうのちゅうじゃう、とうのべん。 ごんのちゅうじゃう、しゐのせうしょう。 くらうどの…
枕草子 第百六十五段 受領は 受領は、 伊予守、紀伊守。 和泉守。大和守。 ずりゃうは、 いよのかみ、きのかみ。 いづみのかみ、やまとのかみ。 受領というのは、国守、つまり地方長官のことです。 前任者から事務の引き継ぎを「受」けて、行政・司法・警察…
枕草子 第百六十六段 権守は 権守は、 甲斐、越後。 筑後、阿波。 ごんのかみは、 かひ、ゑちご。 ちくご、あは。 権守というのは、正守が任国に赴任しない場合に置かれる役職です。「権」というのは「副」という意味なのでしょうが、権守の場合は少し違うよ…
枕草子 第百六十七段 大夫は 大夫は、 式部大夫。 左衛門大夫、右衛門大夫。 たいふは、 しきぶのたいふ。 さゑもんのたいふ、うゑもんのたいふ。 大夫(たいふ)とは、五位の者の通称です。 六位蔵人から、叙爵(五位昇叙)により、国司に任官される者と、…
枕草子 第百六十八段 法師は 法師は、 律師。 内供。 法師で素敵なのは、 りっし。 ないぐ。 律師とは、僧侶の高級官職のうち、僧正・僧都に次ぐ三等官。わざわざ三等官を挙げているのは、若い僧侶が多く、その点が少納言さまのお気に召したようです。 内供…
枕草子 第百六十九段 女は 女は、 典侍。 内侍。 女房ですばらしいのは、 ないしのすけ。 ないし。 典侍とは、内侍司の次官。 内侍とは、内侍司の女官の総称ですが、通常は「掌侍(ナイシノジョウ)」を指し、三等官にあたります。 因みに、長官は「尚侍(ナ…
枕草子 第百七十段 六位蔵人などは 六位蔵人などは、思ひかくべきことにもあらず。 冠(カウブリ)得て、何の権守・大夫などいふ人の、板屋などの狭き家持たりて、また、小檜垣などいふもの新しくして、車宿に車ひき立て、前近く一尺ばかりなる木生(オ)ほ…
運命紀行 謎と謎を結ぶ 「本能寺の変」が、戦国時代における最大級の事件であることに異論は少ないだろう。 そして、その舞台を演じたのは、一方は織田信長であるが、主役となれば、やはり明智光秀ということではないだろうか。 この、大舞台の主役である光…
枕草子 ちょっと一息 枕草子の弱点 このところ、「何々は、・・・」で始まる章段が続いています。 これは、全く私の個人的な意見なのですが、この種の章段が枕草子の中でかなりの比率を占めていることが、枕草子の文学作品としての弱点になっているような気…
枕草子 第百七十一段 女ひとり住むところは 女ひとり住むところは、いたくあばれて、築土(ツイヒヂ)などもまたからず、池などあるところも、水草ゐ、庭なども、蓬に茂りなどこそせねども、ところどころ、砂子の中より青き草うち見え、淋しげなるこそ、あは…
枕草子 第百七十二段 宮仕へ人の里なども 宮仕へ人の里なども、親ども二人あるは、いとよし。人しげく出で入り、奥の方にあまた声々さまざまきこえ、馬の音などして、いと騒がしきまであれど、咎(トガ)もなし。 されど、しのびても、あらはれても、おのづ…
枕草子 第百七十三段 雪のいと高うはあらで 雪の、いと高うはあらで、うすらかに降りたるなどは、いとこそをかしけれ。 また、雪のいと高う降り積もりたる夕暮より、端近う、おなじ心なる人、二、三人ばかり、火桶を中に据ゑて、物語りなどするほどに、暗う…
枕草子 第百七十四段 村上の先帝の御時に 村上の先帝(センダイ)の御時に、雪のいみじう降りたりけるを、楊器に盛らせたまひて、梅の花を挿して、 「月のいと明かきに。これに、歌詠め。いかがいふべき」 と、兵衛の蔵人に賜はせたりければ、 「雪・月・花…
枕草子 第百七十五段 みあれの宣旨 みあれの宣旨の、主上に、五寸ばかりなる殿上童のいとをかしげなるを作りて、みづら結ひ、装束などうるはしくして、中に名書きて、奉らせたまひけるを、「兼明の王(トモアキラのオホキミ)」と書きたりけるを、いみじうこ…
枕草子 第百七十六段 宮にはじめてまゐりたる頃 宮にはじめてまゐりたる頃、ものの恥づかしきことの数知らず、涙も落ちぬべければ、夜々まゐりて、三尺の御几帳のうしろにさぶらふに、絵など取り出でて、見せさせたまふを、手にても得さし出づまじう、わりな…
枕草子 第百七十七段 したり顔なるもの したり顔なるもの。 正月朔に、最初に鼻ひたる人。よろしき人は、さしもなし。下臈よ。 きしろふ度の蔵人に、子なしたる人の気色。 また、除目に、その年の一の国得たる人。慶びなどいひて、 「いと賢うなりたまへり」…
枕草子 第百七十八段 位こそ、なほめでたきものはあれ 位こそ、なほめでたきものはあれ。 同じ人ながら、「大夫の君」「侍従の君」などきこゆるをりは、いと侮(アナ)づりやすきものを、中納言・大納言・大臣などになりたまひては、無下にせく方もなく、や…
枕草子 第百七十九段 かしこきものは かしこきものは、乳母の夫こそあれ。 帝・皇子たちなどは、さるものにて、おきたてまつりつ。 そのつぎつぎ、受領の家などにも、ところにつけたる覚え、わづらはしきものにしたれば、したり顔に、わが心ちもいと寄せあり…
枕草子 第百八十段 病は 病は、 胸。もののけ。脚の気。 はては、ただそこはかとなくて、もの食われぬ心ち。 (以下割愛) 病気といえば、 胸の病。物の怪。脚の病気。 それから、ただ何となく、食べ物が食べられない気持ちになるもの。 十八、九歳ぐらいの…
枕草子 ちょっと一息 小話を楽しむ 枕草子の内容は、章段ごとに実に様々です。これを、バラエティーに富んでいると受け取るのか、雑然としていると受け取るのかは、読者の勝手なのでしょうが、他に例を見ない形式であることだけは確かなことでしょう。 もち…
運命紀行 信長と光秀を結ぶ 下剋上という言葉は、中国で使われるようになった言葉であるが、わが国には鎌倉時代に登場している。 その意味は、下位の者が上位の者を政治的あるいは軍事的に打倒して、上下関係を覆すことを指す。従って、そこには、当事者間に…
枕草子 第百八十一段 好き好きしくて 好き好きしくて、人、数見る人の、夜はいづくにかありつらむ、暁に帰りて、やがて起きたる、ねぶたげなる気色なれど、硯取り寄せて、墨こまやかにおし磨りて、事無しびに筆にまかせてなどはあらず、心とどめて書くまひろ…
枕草子 第百八十二段 いみじう暑き昼中に いみじう暑き昼中に、「いかなるわざをせむ」と、扇の風もぬるし、氷水(ヒミヅ)に手をひたし、もて騒ぐほどに、こちたう赤き薄様を、唐撫子のいみじう咲きたるに結びつけて、取り入れたるこそ、書きつらむほどの暑…
枕草子 第百八十三段 南ならずば東の 南、ならずば東の廂の板の、影見ゆばかりなるに、鮮やかなる畳をうち置きて、三尺の几帳の、帷(カタビラ)いと涼しげに見えたるを、押しやれば、流れて、思ふほどよりも過ぎて立てるに、白き生絹(スズシ)の単衣・紅の…
枕草子 第百八十四段 大路近なるところ 大路近なるところにてきけば、車に乗りたる人の、有明のをかしきに、簾上げて、「遊子なほ残りの月にゆく」という詩を、声よくて誦したるも、をかし。 馬にても、さやうの人のいくは、をかし。 さやうのところにてきく…
枕草子 第百八十五段 ふと心劣りとかするもの ふと心劣りとかするものは、男も女も、言葉の文字いやしう使ひたるこそ、万づのことよりまさりて、わろけれ。 ただ文字一つに、あやしう、あてにもいやしうもなるは、いかなるにかあらむ。 さるは。かう思ふ人、…
枕草子 第百八十六段 宮仕へ人のもとに 宮仕へ人のもとに来などする男の、そこにて物食ふこそ、いとわろけれ。食はする人も、いと憎し。 想はむ人の、「なほ」など、心ざしありていはむを、忌みたらむやうに、口を塞ぎ、顔をもて退くべきことにもあらねば、…
枕草子 第百八十七段 風は嵐 風は、 嵐。 三月ばかりの夕暮に、ゆるく吹きたる雨風。 八、九月ばかりに、雨にまじりて吹きたる風、いとあはれなり。雨の脚横ざまに、騒がしう吹きたるに、夏通したる綿衣のかかりたるを、生絹(スズシ)の単衣かさねて着たる…
枕草子 第百八十八段 野分のまたの日こそ 野分のまたの日こそ、いみじうあはれに、をかしけれ。 立蔀・透垣などの乱れたるに、前栽どもいと心苦しげなり。大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、萩・女郎花などの上に、横ろばひ伏せる、いと思はず…
枕草子 第百八十九段 心にくきもの 心にくきもの。 もの隔ててきくに、女房とはおぼえぬ手の、忍びやかに、をかしげにきこえたるに、こたへ若やかにして、うちそよめきてまゐる気はひ。 もののうしろ、障子など隔ててきくに、御膳まゐるほどにや、箸・匙など…