雅工房 『 日々これ好日 』

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2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

今昔物語集  巻十一 ご案内

今昔物語集 巻十一 「巻十一」は、全体の位置付けとしては「本朝仏教部」に当たります。 「本朝仏教部」は、「巻十一」から「巻二十」までの膨大な量を占めており、本巻はその最初に当たります。 「巻十一」は、全部で三十八話から成っていて、大和時代・奈…

聖徳太子 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 )

聖徳太子 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 ) 今は昔、 わが国に、聖徳太子と申される聖(ヒジリ)がいらっしゃった。 用明天皇(第三十一代天皇)がまだ親王であった時に穴穂部真人(アナホベノマヒト)の娘に産ませた御子である。 その誕生に際して、母である夫人の…

聖徳太子 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 )

聖徳太子 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 ) (聖徳太子 (1)より続く) 当時、国中に病が流行し、死ぬ人が多かった。 その頃、大連物部弓削守屋(オオムラジ モノノベノユゲノモリヤ)、中臣勝海王(ナカトミノカツミノキミ)という二人がいて、天皇に奏上した。 …

聖徳太子 (3) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 )

聖徳太子 (3) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 ) (聖徳太子 (2) より続く) やがて、聖徳太子の伯父に当たる崇峻天皇(スシュンテンノウ・第三十二代天皇)が即位されると、政治のことはすべて太子に任せられた。 その頃、百済国の使いとして阿佐という皇子が来朝した…

聖徳太子 (4) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 )

聖徳太子 (4) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 ) (聖徳太子 (3) より続く) また、聖徳太子は、鵤(イカルガ)の宮の寝殿のそばに建物を造って夢殿と名付けて、一日に三度沐浴をしてそこに入られた。 そして、翌朝そこから出られると、人間世界の善悪についてお話にな…

聖徳太子 (5) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 )

聖徳太子 (5) ・ 今昔物語 ( 巻11-1 ) (聖徳太子 (4) より続く) また、聖徳太子が難波から京に帰られる途中、片岡山の近くで飢えた人が倒れていた。 太子が乗っていた黒い小馬は、そこで止まって進もうとしない。太子は馬からおりて、この飢えた人に言葉を…

行基菩薩 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-2 )

行基菩薩 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-2 ) 今は昔、 わが国に、行基菩薩と申される聖(ヒジリ)がおいでになった。和泉国大鳥郡の人である。 お生まれの時、胞衣(エナ)に包まれて生まれたので、父がこれを見て、忌まわしく思い木の枝の上に載せておいたところ…

行基菩薩 (2) ・ 今昔物語 (巻11-2)

行基菩薩 (2) ・ 今昔物語 (巻11-2) (行基菩薩 (1) より続く) その後、智光はこの罪を詫びるために、行基菩薩の所へ行こうとした。 その頃、行基は摂津国の難波の堀江に橋を架け、また堀江をさらに掘って船着き場を造っていたので、そこを訪れた。 行基菩…

役行者 ・ 今昔物語 ( 巻11-3 )

役行者 ・ 今昔物語 ( 巻11-3 ) 今は昔、 本朝文武天皇の御代に役の優婆塞(エノウバソク)と申す聖人がおいでになった。 大和国の葛上郡茅原村の人である。俗姓は賀茂、役(エ)の氏である。長年、葛木山に住み、藤の皮を着物とし、松葉を食物として、四十…

道照和尚 ・ 今昔物語 ( 巻11-4 )

道照和尚・ 今昔物語 ( 巻11-4 ) 今は昔、 本朝天智天皇の御代、道照和尚(ドウショウワジョウ)という聖人がおいでになった。 俗姓は丹氏(フナノウジ・船氏。舟を間違えたものか?)、河内国の人である。 幼くして出家して、元興寺(ガンコウジ)の僧とな…

道慈と神叡 ・ 今昔物語 ( 巻11-5 )

道慈と神叡 ・ 今昔物語 ( 巻11-5 ) 今は昔、 聖武天皇の御代に、道慈(ドウジ)、神叡(ジンエイ)という二人の僧がいた。 道慈は、大和国の添下郡の人である。俗姓は額田氏。聡明にして仏法を学んだが理解力に優れていたので、さらに仏法を深く学び伝える…

光明皇后の想い人(1) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 )

光明皇后の想い人(1) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 ) 今は昔、 聖武天皇の御代に、玄(ゲンボウ)という僧がいた。俗称は阿刀の氏(アトノウジ)、大和国の人である。 幼くして義淵(ギエン・原文は意識的な欠字になっている)という人に従って出家して仏法を学ん…

光明皇后の想い人(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 )

光明皇后の想い人(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 ) ( (1)より続く ) 鎮西に下った東人は、九州の軍勢を集めて広継を攻めようとしたが、これを知った広継は大いに怒った。 「私は朝廷の御為に間違ったことはしていないのに、朝廷は理不尽にも私を討とうとなされ…

行基菩薩 ・ 今昔物語 ( 巻11-7 )

行基菩薩 ・ 今昔物語 ( 巻11-7 ) 今は昔、 聖武天皇が東大寺を建立し開眼供養をなさろうとしていた頃、行基という人がいた。 天皇はこの人を講師に任じられたが、行基は、「私はその任にふさわしくありません。やがて外の国より講師を勤められる人が参るで…

鑑真和尚 ・ 今昔物語 ( 巻11-8 )

鑑真和尚 ・ 今昔物語 ( 巻11-8 ) 今は昔、 聖武天皇の御代に、鑑真和尚(ガンジンワジョウ)という聖人がおいでになった。 この人は、もとは震旦(シンタン・中国)の揚州、江陽県の人である。俗称は淳于氏(ジュンウノウジ)。 始め十六歳(十四歳とも)の…

弘法大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-9 )

弘法大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-9 ) 今は昔、 弘法大師と申される方がいらっしゃった。 俗称は佐伯の氏。讃岐の国の多度郡、屏風の浦の人である。母は、阿刀の氏の出である。その方が、聖人が来て胎内に入る夢を見て懐妊して、生まれてきた子である。 その…

弘法大師 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-9 )

弘法大師 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-9 ) ( (1)より続く ) さて、空海がついに廻り会った恵果和尚(ケイカカショウ)は、空海を見ると、笑みをたたえ喜びの表情で、「私はそなたが来るはずだとかねてから知っていたが、ずいぶん待ち遠しかった。今日やっと会…

伝教大師 ・ 今昔物語 ( 巻11-10 )

伝教大師 ・ 今昔物語 ( 巻11-10 ) 今は昔、 桓武天皇の御代に、伝教大師という聖(ヒジリ)がいらっしゃった。 俗称は三津の氏(ミツノウジ)、近江の国志賀郡の人である。幼い頃から賢く、七歳になると、聡明さが際立った。何事についても前もって知ってい…

慈覚大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-11 )

慈覚大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-11 ) 今は昔、 承和の御代(834-848)に、慈覚大師(ジカクダイシ)という聖(ヒジリ)がおいでになった。 俗称は壬生の氏(ミブノウジ)、下野国都賀郡(シモツケノクニ ツガノコオリ)の人である。お生まれになった時、紫…

慈覚大師 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-11 )

慈覚大師 (2) ・ 今昔物語 ( 巻11-11 ) ( (1)より続く ) 釈放された大師(慈覚大師)は、喜び大急ぎでそこを去り、他の国へ逃げて行った。 その途中、遥かなる山を越えると人家があった。見てみると、城壁を堅固に築き廻らせていて、周囲を厳重に警戒して…

智證大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-12 )

智證大師 (1) ・ 今昔物語 ( 巻11-12 ) 今は昔、 文徳天皇の御代に、智證(チショウ)大師と申される聖(ヒジリ)がいらっしゃった。 俗称は和気氏(ワケノウジ)。讃岐の国、那珂の郡金倉の郷の人である。その父の家は豊かであった。母は佐伯の氏、高野山の…

智證大師 (2) ・ 今昔物語 ( 第11-12 )

智證大師 (2) ・今昔物語 ( 第11-12 ) ( (1)より続く ) さて、それから和尚(智證大師)は、かねてからの念願通り、天台山に上り、禅林寺に至って定光禅師の菩提樹を礼拝し、また、その昔、天台大師(中国・隋の高僧)のご遺体を納めているお墓を拝せられ…

東大寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-13 )

東大寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-13 ) 今は昔、 聖武天皇は東大寺を建立なされた。 銅(アカガネ)で座高○○丈(正確に記すためか意識的な欠字になっている。正しくは五丈三尺五寸とも)の廬舎那仏(ルシャナブツ・毘盧遮那仏ともいう)の像を鋳造させられた。…

山階寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-14 )

山階寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-14 ) 今は昔、 大織冠(ダイショクカン・藤原鎌足を指す。冠位の最高位であるが、授与されたのは彼のみ)がまだ内大臣にもなっておらず、ただの臣下であられた頃のこと、それは皇極天皇と申される女帝の御代であったが、その…

元興寺建立(1) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 )

元興寺建立(1) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 ) 今は昔、 元明天皇は、奈良の都の飛鳥の郷に元興寺(ガンゴウジ)を建立をなさいました。(正しくは、奈良には飛鳥という地は無く、本元興寺は飛鳥、新元興寺は奈良にあったので、誤ったと思われる) 堂や塔を建てら…

元興寺建立(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 )

元興寺建立(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 ) ( (1)より続く ) 国王は童子に言った。「この仏像を安置し奉るために、速やかに伽藍を建てるように」と。 そこで、童子はまず伽藍の周囲の外郭を廻らせた。その中に二階の堂を建て、そこにこの仏像を安置して、「東…

元興寺建立(3) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 )

元興寺建立(3) ・ 今昔物語 ( 巻11-15 ) ( (2)より続く ) ところで、わが日本の元明天皇は、この仏像の利益(リヤク)・霊験があることを伝え聞かれて、これをわが国にお移しして、「伽藍を建立して安置し奉ろう」と思い願われていたところ、天皇の外戚に…

大安寺縁起 ・ 今昔物語 ( 巻11-16 )

大安寺縁起 ・ 今昔物語 ( 巻11-16 ) 今は昔、 聖徳太子が熊凝(クマゴリ)の村(現在の奈良県大和郡山市)に寺をお造りになった。だが、まだ造り終えぬうちに太子がお亡くなりになったので、推古天皇が引き継がれた。およそ、推古天皇から聖武天皇に至るま…

薬師寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-17 )

薬師寺建立 ・ 今昔物語 ( 巻11-17 ) 今は昔、 天武天皇が即位なさった。その次に、女帝である持統天皇が即位なさった。 高市郡(タケチノコオリ)[ 欠字 ]という所に寺を建て、この薬師如来の像を安置なさった。その後、奈良に都があった時、元明天皇と申…

西大寺建立(未完) ・ 今昔物語 ( 巻11-18 )

西大寺建立(未完) ・ 今昔物語 ( 巻11-18 ) 今は昔、 高野姫天皇(称徳天皇)は聖武天皇の御娘でおわします。 女の身でいらっしゃるが、たいそう学問に優れ、漢詩漢文の道を極めていらっしゃった。また、仏道を尊ばれ、「何とか仏道修業の道場を建立しよう…