雅工房 『 日々これ好日 』

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2014-01-01から1年間の記事一覧

殿上の名対面

枕草子 第五十三段 殿上の名対面 殿上の名対面こそ、なほをかしけれ。 御前に人さぶらふをりは、やがて問ふも、をかし。 (以下割愛) 殿上の間で行われる名対面(ナダイメン)は、何とも興味深いものです。 天皇の御前に点呼の当番の蔵人が伺候している時に…

若くよろしき男

枕草子 第五十四段 若くよろしき男 若く、よろしき男の、下種女の名、呼び馴れていひたるこそ、憎けれ。知りながらも、「なに」とかや、片文字はおぼえでいふは、をかし。 宮仕へ所の局によりて、夜などぞあしかるべけれど、主殿寮、さらぬただ所などは、侍…

若き人

枕草子 第五十五段 若き人 若き人、稚児どもなどは、肥えたるよし。 受領など、おとなだちぬるも、ふくらかなるぞよき。 若い女性や幼い子供などは、ふっくらしているのがよろしい。 受領(国司の守)などのような、人の上に立つような身分の人も、でっぷり…

稚児は

枕草子 第五十六段 稚児は 稚児は、あやしき弓・しもとだちたるものなどささげて遊びたる、いとうつくし。 車などとどめて、いだき入れて見まく、欲しくこそあれ。 また、さていくに、薫物の香いみじうかかへたるこそ、いとをかしけれ。 幼い子は、粗末な弓…

よき家の中門あけて

枕草子 第五十七段 よき家の中門あけて よき家の、中門あけて、檳榔毛の車の白く清げなるに、蘇芳の下簾、にほひいときよらにて、榻にうちかけたるこそ、めでたけれ。 五位・六位などの、下襲の裾はさみて、笏のいと白きに、扇うち置きなどいきちがひ、また…

滝は音無しの滝

枕草子 第五十八段 滝は音無しの滝 滝は、 音無しの滝。 布留の滝は、法皇の御覧じにおはしましけむこそ、めでたけれ。 那智の滝は、「熊野にあり」ときくが、あはれなるなり。 轟の滝は、いかにかしがましく恐ろしからむ。 滝は、おとなしの滝。 ふるの滝は…

川は飛鳥川

枕草子 第五十九段 川は飛鳥川 川は、 飛鳥川。「淵瀬もさだめなく、いかならむ」と、あはれなり。 大井川。 音無川。 七瀬川。 耳敏川。「またも、なに言をさくじりききけむ」と、をかし。 玉星川。 細谷川、 五貫川、 沢田川などは、催馬楽などの、思はす…

暁に帰らむ人は

枕草子 第六十段 暁に帰らむ人は 暁に帰らむ人は、「装束など、いみじううるはしう、烏帽子の緒、元結かためずともありなむ」とこそ、おぼゆれ。いみじうしどけなく、かたくなしく、直衣・狩衣などゆがめたりとも、たれか見知りて、嗤ひ譏りもせむ。 (以下…

犬は何処へ

枕草子 ちょっと一息 犬は何処へ 第四十七段は「馬は・・・」、 第四十八段は「牛は・・・」、 第四十九段は「猫は・・・」と、身近な動物がテーマになっています。 常識的な感覚からしますと、「猫は・・・」の前か後ろに「犬は・・・」というのがあっても…

橋は朝津の橋

枕草子 第六十一段 橋は朝津の橋 橋は、 朝津の橋。 長柄の橋。 天彦の橋。 (以下割愛) 橋は、 朝津の橋。長柄の橋。天彦の橋。 浜名の橋。一つ橋。転寝(ウタタネ)の橋。 佐野の舟橋。堀江の橋。鵲(カササギ)の橋。 山菅の橋。小津の浮橋。 一筋わたし…

里は逢坂の里

枕草子 第六十二段 里は逢坂の里 里は、 逢坂の里。 ながめの里 睡覚の里。 (以下割愛) 里は、 逢坂の里。ながめの里。睡覚(イザメ)の里。 人妻の里。たのめの里。夕日の里。 妻取りの里。「人に妻を取られたのか、自分が人の妻を取ったのか」と考えると…

草は菖蒲

枕草子 第六十三段 草は菖蒲 草は、 菖蒲。 菰。 葵、いとをかし。神代よりして、さる挿頭となりけむ。いみじうめでたし。もののさまも、いとをかし。 (以下割愛) 草は、 菖蒲。菰。 葵、神代の昔から、そうした挿頭(カザシ・髪や冠に挿すもの)となった…

草の花は

枕草子 第六十四段 草の花は 草の花は、 瞿麦(ナデシコ)。唐のはさらなり。日本のも、いとめでたし。 女郎花。 桔梗。 (以下割愛) 草の花では、 なでしこがすばらしい。からなでしこ(石竹)はさらに良いですね。日本のものも、とてもすばらしい。 おみ…

集は古万葉

枕草子 第六十五段 集は古万葉 集は、 古万葉。 古今。 和歌集は、 万葉集。 古今集。 「古万葉」という呼び名は私などは馴染みがないのですが、新撰万葉集(菅原道真撰)に対する名称のようです。 当時、著名な歌集がどの程度知られていたのか分かりません…

歌の題は

枕草子 第六十六段 歌の題は 歌の題は、 都。 葛。 三稜草(ミクリ)。 駒。 霰。 歌の題としては、 都。葛。三稜草(水草の名。簾に用いられる)。駒。霰。 歌の題というのは、与えられた題によって歌を詠むことを指しているのでしょうが、挙げられている五…

おぼつかなきもの

枕草子 第六十七段 おぼつかなきもの おぼつかなきもの。 十二年の山籠りの法師の女親。 知らぬところに、闇なるにいきたるに、「あらはにもぞある」とて、灯もともさで、さすがに並み居たる。 いま出で来たる者の、心も知らぬ、やむごとなきもの持たせて、…

たとしへなきもの

枕草子 第六十八段 たとしへなきもの たとしへなきもの。 夏と冬と。 夜と昼と。 雨降る日と照る日と。 (以下割愛) 比べようがないほど違っているもの。 夏と冬と。 夜と昼と。 雨が降る日と日が照る日と。 人が笑うのと腹を立てるのと。 年とっているのと…

忍びたるところ

枕草子 第六十九段 忍びたるところ 忍びたるところにありては、夏こそをかしけれ。 いみじく短き夜の明けぬるに、つゆ寝ずなりぬ。やがて、万づのところ開けながらあれば、涼しく見えわたされたる。 なほ、いますこしいふべきことのあれば、かたみにいらへな…

懸想人

枕草子 第七十段 懸想人 懸想人にて来たるは、いふべきにもあらず、ただうち語らふも、またさしもあらねど、おのづから来などもする人の、簾のうちに人々あまたありてものなどいふに、居入りて、とみに帰りげもなきを、供なる郎等・童など、とかくさし覗き、…

枕草子の謎

枕草子 ちょっと一息 枕草子の謎 古典と呼ばれるほどの文献には、多かれ少なかれ現代人から見れば謎に思える部分があるものですが、枕草子には特に多いように思われます。 今回はその中から二つ紹介させていただきます。 「第六十五段 集は・・」には、「古…

ありがたきもの

枕草子 第七十一段 ありがたきもの ありがたきもの。 舅にほめらるる婿。 また、姑におもはるる嫁の君。 毛のよく抜くる銀の鑷子(ケヌキ)。 (以下割愛) めったにないもの。 舅にほめられる婿。 また、姑に可愛がられる嫁君。 毛がよく抜ける銀の毛抜き。…

内裏の局

枕草子 第七十二段 内裏の局 内裏の局、細殿いみじうをかし。 上の蔀あげたれば、風いみじう吹き入りて、夏も、いみじう涼し。 冬は、雪・霰などの、風にたぐひて降り入りたるも、いとをかし。 (以下割愛) 宮中の局の中では、細殿が大変趣があります。 上…

職の御曹司におはしますころ

枕草子 第七十三段 職の御曹司におはしますころ 職の御曹司におはしますころ、木立などの、はるかにもの旧り、屋のさまも、高う気どほけれど、すずろにをかしうおぼゆ。 母屋は、「鬼あり」とて、南へ隔て出だして、南の廂に御帳立てて、又廂に女房はさぶら…

あぢきなきもの

枕草子 第七十四段 あぢきなきもの あぢきなきもの。 わざと思ひ立ちて、宮仕へに出で立ちたる人の、もの憂がり、うるさげに思ひたる。 養女の、顔憎げたる。 しぶしぶに思ひたる人を、強ひて婿どりて、 「思ふさまならず」と、嘆く。 いまさらどうしようも…

心ちよげなるもの

枕草子 第七十五段 心ちよげなるもの 心ちよげなるもの。 卯杖の捧持。 御神楽の人長。 御霊会の振幡とか持たる者。 得意満面なもの。 卯杖を捧げ持っている舎人の得意そうな顔。 御神楽の人長舞をつとめる近衛舎人。 神楽の振り幡とかいうものを持っている…

御仏名のまたの日

枕草子 第七十六段 御仏名のまたの日 御仏名のまたの日、地獄絵の御屏風とりわたして、宮に御覧ぜさせたてまつらせたまふ。ゆゆしう、いみじきこと、かぎりなし。 「これ、見よ、見よ」 と、仰せらるれど、さらに見はべらで、ゆゆしさに、小部屋に隠れ臥しぬ…

頭の中将の・・その1

枕草子 第七十七段 頭の中将の・・その1 頭の中将の、すずろなるそら言をききて、いみじういひおとし、 「『なにしに、人と思ひ、褒めけむ』など、殿上にて、いみじうなむのたまふ」 と、きくにも恥づかしけれど、 「まことならばこそあらめ。おのづからき…

頭の中将の・・その2

(その1からの続き) 「『少納言が送ってきた句に、上の句を付けて送ろう』 『源の中将つけよ』などと、夜が更けるまであれこれと付けあぐんだ挙句、打ち切りになってしまったんですよ。 『このことは、これから先、きっと語り草となることだ』などと、皆の…

返る年の

枕草子 第七十八段 返る年の 返る年の二月廿余日、宮の、職へ出でさせたまひし御供にまゐらで、梅壺にのこり居たりし、またの日、頭中将の御消息とて、 「昨日の夜、鞍馬に詣でたりしに、今夜、方の塞がりければ、方違ヘになむいく。まだ明けざらむに、帰り…

里にまかでたるに

枕草子 第七十九段 里にまかでたるに 里にまかでたるに、殿上人などの来るをも、やすからずぞ、人々はいひなすなる。いと有心にひき入りるおぼえ、はたなければ、さいはむも憎かるまじ。 また、昼も夜も、来る人を、なにしにかは、「なし」とも、かがやき返…