雅工房 『 日々これ好日 』

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2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

左衛門の陣などに

枕草子 第八十一段 左衛門の陣などに さて、その左衛門の陣などにいきて後、里に出でて、しばしあるほどに、 「疾くまゐりね」 などある仰せ言の端に、 「左衛門の陣へいきしうしろなむ、常に思しめし出でらるる。いかでか、さつれなく、うち旧りてありしな…

西の廂に・・その1

枕草子 第八十二段 西の廂に・・その1 職の御曹司におはしますころ、西の廂に、不断の御読経あるに、仏など懸けたてまつり、僧どものゐたるこそ、さらなることなかれ。 (以下割愛) 職の御曹司に中宮様がおいでになられた頃、西の廂の間で不断の御読経があ…

西の廂に・・その2

(その1からの続き) 十二月の十日余りの頃に、雪が大変降り積もっているのを、女官たちなどに言いつけて、縁にとてもたくさん積み上げさせたのですが、女房たちは、 「同じするのなら、庭に、本物の山を作らせましょう」ということになり、中宮職の侍を呼…

西の廂に・・その3

(その2からの続き) 大晦日近くになって、雪の山は少し小さくなったようですが、なお大変高いままで残っている、そんな昼ごろ、縁に女房たちが出て座りなどしている時に、常陸の介がやって来ました。 「どうしたの、ずいぶん長い間姿を見せなかったのに」…

西の廂に・・その4

(その3からの続き) 内裏にいた間も、この雪の山のことが気がかりなので、下仕えの女などに命じて、絶え間なく注意しに行かせました。七日のお節句のお下がりなんかまで与えたので、「庭木番が喜んで拝礼していましたよ」などと、笑いながら報告がありまし…

歴史散策  うるわしき大和よ

歴史散策 うるわしき大和よ 全四回で、『ヤマト』誕生の頃を散策しています。

歴史散策  うるわしき大和よ ( 1 )

うるわしき大和よ ( 1 ) 日本誕生 日本という国が、いつ、どのような過程を経て誕生したのかということになると、諸説は数限りなくある。 さらに、どのような状態をもって、国家誕生とするのかということになると、これもまた全く同様に諸説入り乱れてい…

歴史散策  うるわしき大和よ ( 2 )

うるわしき大和よ ( 2 ) 「古事記」と「日本書紀」 わが国の古い時代の歴史を学ぼうと思えば、「古事記」と「日本書紀」を無視することはできない。 両書については、古くから「記・紀」とも呼ばれ多くの研究者によって研究・解明が進められ、近年に至っ…

歴史散策  うるわしき大和よ ( 3 )

うるわしき大和よ ( 3 ) 「記・紀」に先立つ文献があった 「古事記」と「日本書紀」が、大変似通っており、それでいて全く違う資料なり思想に基づいて書かれたらしいことはすでに述べた。 そのような状態が出来上がった原因を考えた場合、その理由は比較…

歴史散策  うるわしき大和よ ( 4 )

うるわしき大和よ ( 4 ) 欠史八代 第二代綏靖天皇から第九代開化天皇までを「欠史八代」と呼ばれることがある。 もちろん、後世の研究者によって名付けられたものであるが、その理由は、これらの天皇には、名前の他には、系譜、皇居の所在地、后妃名、皇子女…

めでたきもの

受領を

なまめかしきもの

枕草子 第八十四段 なまめかしきもの なまめかしきもの。 ほそやかにきよげなる君達の、直衣姿。 をかしげなる童女の、表の袴などわざとはあらで、ほころびがちなる汗衫ばかり着て、卯槌・薬玉など長くつけて、高欄のもとなどに、扇さしかくしてゐたる。 (…

宮の五節出ださせたまふに

枕草子 第八十五段 宮の五節出ださせたまふに 宮の、五節出だせたまふに、かしづき十二人。 異どころには、「女御・御息所の御方の人出だすをば、わるきことになむする」ときくを、いかに思すにか、宮の御方を十人は出ださせたまひ、いま二人は、女院・淑景…

細太刀に平緒つけて

枕草子 第八十六段 細太刀に平緒をつけて 細太刀に平緒つけて、きよげなる郎等の、持てわたるも、なまめかし。 儀礼用の細太刀に平緒をつけて、見栄えのよい召使の男が持って通るのも、優雅なものです。 この前後のあたりは、比較的長い文章の章段が多いので…

内裏は五節のころこそ

枕草子 第八十七段 内裏は五節のころこそ 内裏は、五節のころこそ、すずろに、ただなべて見ゆる人も、をかしうおぼゆれ。 殿司などの、いろいろの裂栲を物忌のやうにて、釵子につけたるなども、めづらしう見ゆ。 (以下割愛) 内裏は、五節の頃が特に、わけ…

無明という琵琶

枕草子 第八十八段 無明という琵琶 「『無明』といふ琵琶の御琴を、主上の持てわたらせたまへるに、見などして、掻き鳴らしなどす」 といへば、弾くにはあらで、緒などを手まさぐりにして、 「これが名よ、いかにとか」 ときこえさするに、 「ただいとはかな…

上の御局の

枕草子 第八十九段 上の御局の 上の御局の御簾の前にて、殿上人、日一日、琴・笛、吹き遊び暮らして、大殿油(オオトナブラ)まゐるほどに、まだ御格子はまゐらぬに、大殿油差し出でたれば、戸の開きたるがあらはなれば、琵琶の御琴を、縦ざまに、持たせたま…

ねたきもの

枕草子 第九十段 ねたきもの ねたきもの。 人のもとにこれよりやるも、人の返りごとも、書きてやりつる後、文字一つ二つ思ひなほしたる。 とみのもの縫ふに、「かしこう縫ひつ」と思ふに、針をひき抜きつれば、はやく尻を結ばざりけり。また、返さまに縫ひた…

王朝文化の揺らめき

枕草子 ちょっと一息 王朝文化の揺らめき 少納言さまが活躍された時期は、大ざっぱにいえば西暦千年の頃に当たります。 平安王朝が円熟期にさしかかり、藤原氏の絶頂期でもありました。絢爛豪華な文化は、多くの女流文学者に活躍の舞台を提供しました。 わが…

かたはらいたきもの

枕草子 第九十一段 かたはらいたきもの かたはらいたきもの。 まらうどなどに会ひてものいふに、奥の方に、うちとけ言などいふを、得は制せできく心ち。 想ふ人の、いたく酔ひて、おなじごとしたる。 ききゐたりけるを知らで、人のうへいひたる。それは、な…

あさましきもの

枕草子 第九十二段 あさましきもの あさましきもの。 刺櫛すりてみがくほどに、ものにつきさへて折りたる心ち。 車のうち覆りたる。「さるおほのかなるものは、ところ狭くやあらむ」と思ひしに、ただ夢の心ちして、あさましうあへなし。 人のために、恥づか…

口惜しきもの

枕草子 第九十三段 口惜しきもの 口惜しきもの。 五節・御仏名に雪ふらで、雨のかきくらし降りたる。 節会などに、さるべき御物忌のあたりたる。 いとなみ、いつしかと待つ事の、障りあり、俄かにとまりぬる。 遊びをもし、見すべき事ありて、呼びにやりたる…

五月の御精進のほど・・その1

枕草子 第九十四段 五月の御精進のほど・・その1 五月の御精進のほど、職におはしますころ、塗籠の前の二間なるところを、殊にしつらひたれば、例ざまならぬも、をかし。 朔より、雨がちに曇りすぐす。 「つれづれなるを。郭公(ホトトギス)の声、たづねに…

五月の御精進のほど・・その2

(その1からの続き) 「待っている必要なんかないわ」 というわけで、車を土御門の方へ走らせると、侍従(故一条太政大臣藤原為光の六男公信、二十二歳、従五位下)はいつの間に装束を着けたのか、帯は道々に結んで、「しばらく・・・、しばらく」と言いな…

五月の御精進のほど・・その3

(その2からの続き) 二日ほど経って、その日のことなどを話していると、宰相の君が、 「どうでした、『明順の朝臣自ら摘んだ』と言っていた下蕨の味は」と言われるのを中宮様がお耳になさって、 「思い出すことといったら、食べ物の話だなんて」とお笑いに…

職におはしますころ

枕草子 第九十五段 職におはしますころ 職におはしますころ、八月十余日の、月明かき夜、右近の内侍に琵琶弾かせて、端近くおはします。 これかれ、ものいひ、笑ひなどするに、廂の柱によりかかりてものもいはでさぶらへば、 「など、かう音もせぬ。ものいへ…

御方々・君達・殿上人など

枕草子 第九十六段 御方々・君達・殿上人など 御方々・君達・殿上人など、御前に人のいと多くさぶらへば、廂の柱によりかかりて、女房と物語りなどしてゐたるに、ものを投げ賜はせたる、開けて見たれば、 「思ふべしや、いなや。『人、第一ならず』は、いか…

中納言まゐりたまひて

枕草子 第九十七段 中納言まゐりたまひて 中納言まゐりたまひて、御扇たてまつらせたまふに、 「隆家こそ、いみじき骨は得てはべれ。それを張らせて、進(マイ)らせむとするに、おぼろけの紙は、得張るまじければ、もとめはべるなり」 と申したまふ。 「い…

雨のうちはへ降るころ

枕草子 第九十八段 雨のうちはへ降るころ 雨のうちはへ降るころ、今日も降るに、御使にて、式部丞信経まゐりたり。 例のごと、褥さし出でたるを、常よりも遠く、おしやりて居たれば、 「誰が料ぞ」 といへば、笑ひて、 「かかる雨に、のぼりはべらば、足形つ…

淑景舎、春宮にまゐりたまふ・・その1

枕草子 第九十九段 淑景舎、春宮にまゐりたまふ・・その1 淑景舎、春宮にまゐりたまふほどのことなど、いかが、めでたからぬことなし。 正月十日にまゐりたまひて、御文などは繁う通へど、まだ御対面はなきを、二月十余日、宮の御方にわたりたまふべき御消…