雅工房 『 日々これ好日 』

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2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

きみは虹を見たか   表紙

き み は 虹 を 見 た か

きみは虹を見たか   第一回

( 1 - 1 ) 正雄くんは、少し緊張していました。 家族全員でお出かけすることはよくあるのですが、展覧会に行くことなどあまりなかったからです。それも、自分の絵が張り出されている展覧会なので、いつものように、はしゃいだ気持ちにはなれないのです…

きみは虹を見たか   第二回

( 1 - 2 ) 展覧会のあとのレストランでの楽しい食事から、一週間ほど経った日のことです。今度は、正雄くんがたいへんつらい気持ちになることが起きてしまいました。 入賞した絵の賞品として、正雄くんは図書カードをもらいました。展覧会の主催者から…

きみは虹を見たか   第三回

( 2 ) 次の日の朝、正雄くんは、お父さんが会社に出かけるのを待って起きだしました。 いつもは、お父さんが会社に出かけるのと正雄くんが起きるのは、だいたい同じ時間なのです。ですから、朝お父さんと顔を合わさないこともよくあるのですが、この日は…

きみは虹を見たか   第四回

( 3 - 1 ) お通夜からお葬式と、お父さんとのお別れはあわただしく行われました。 山下のおじさんが中心になって、みんなに指示をしてくれました。良子おばさんは、ずっとお母さんの横についてくれていました。近所の人たちや、お父さんの会社の人も手…

きみは虹を見たか   第五回

( 3 - 2 ) 正雄くんがお父さんを待ち続ける日が、何日も続きました。 学校は休まず行きましたが、友達と遊ぶことは少なくなりました。宿題を時々忘れるようになりましたが、先生はきつくは叱りません。 少し前から、正雄くんもお姉ちゃんも自分たちの部…

きみは虹を見たか   第六回

( 4 - 1 ) 道子さんは、弟の正雄くんのことが心配でした。 お父さんが亡くなったことを、なかなか納得することが出来なかった道子さんですが、泣いて泣いて泣き疲れた時、良子おばさんの言葉を思いだしました。 「道子ちゃん、これからは、あなたがお母…

きみは虹を見たか   第七回

( 4 - 2 ) このことをお母さんに話した方がいいのかどうか、道子さんは一人悩んでいました。 間もなく、お母さんが働きに行くことを道子さんは知っていました。そのことは正雄くんも知っていることですが、お父さんが亡くなったためにお母さんが働かな…

きみは虹を見たか   第八回

( 5 - 1 ) 正雄くんは、夜中に目を覚ましました。 何か夢を見ていたらしいのですが、どんな夢だったのか分かりません。ただ、夜中なのに目がぱっちりとしているのです。 最初は朝だと思ったのですが、目覚まし時計は十二時を少し過ぎているだけです。そ…

きみは虹を見たか   第九回

( 5 - 2 ) 「入りますよ」 声とともに、お母さんがドアを開けました。 「どうしたの、こんなに遅くまで、二人とも・・・」 お母さんは、二人の顔を交互に見ると、自分も床に座りました。 「マーくんが・・・、マーくんが、自分のせいでお父さんが死んだ…

きみは虹を見たか   第十回

( 6 - 1 ) そのあと、正雄くんはなかなか眠ることが出来ませんでした。 お母さんやお姉ちゃんと長い時間話し合ったあとの気持ちの高ぶりが、なかなかおさまらなかったからです。 お母さんもお姉ちゃんも、お父さんが死んだのは正雄くんのせいではないと…

きみは虹を見たか   第十一回

( 6 - 2 ) あれは、正雄くんが、まだ幼稚園の年少組の頃だったと思います。 正雄くんとお姉ちゃんは、お父さんに連れられてこの公園に遊びに来ました。しばらくは三人で砂山を作ったりして遊んでいたのですが、お父さんはすぐに飽きてしまいました。い…

きみは虹を見たか   第十二回

( 6 - 3 ) 正雄くんは、砂場の半分を探し終えました。 お父さんの靴は見つかりません。腕が痛くなってきたのを感じて、正雄くんは大きく伸びをしました。砂場には誰もいなくなっていて、あたりが薄暗くなっていました。 お昼を食べてすぐに家を出たので…

きみは虹を見たか   第十三回

( 7 - 1 ) 道子さんは一人で心配をしていました。 激しい雨になったのに、正雄くんが帰ってきません。遊んでくると言って出かけたのですが、行く先を聞いていなかったことを悔やんでいました。 激しい雨なので友達の家ででも雨宿りしているのだと思いま…

きみは虹を見たか   第十四回

( 7 - 2 ) 夕食になると、正雄くんは勢いよく階段を下りてきました。 階段を走って上がったり下りたりするので、正雄くんはお父さんやお母さんによく叱られていました。 でも、最近は、静かなことが多かったのです。 「今日、ぼく、お父さんに会ったよ…