2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
枕草子 第百三十七段 正月十余日のほど 正月十余日のほど、空いと黒う、曇り厚く見えながら、さすがに日はけざやかに射し出でたるに、えせものの家の、荒畑といふものの、土うるはしうもなほからぬ、桃の木の若だちて、いと楚(シモト)がちにさし出でたる、…
枕草子 第百三十八段 清げなる男の 清げなる男の、双六を日一日うちて、なほ飽かぬにや、短き燈台に火をともして、いと明う掻上げて、仇の賽を責め請ひて、頓(トミ)にも入れねば、筒を盤の上に立てて待つに、狩衣の領(クビ)の顔にかかれば、片手して押し…
枕草子 第百三十九段 碁をやむごとなき人の打つとて 碁を、やむごとなき人の打つとて、紐うち解き、ないがしろなる気色に、ひろひ置くに、劣りたる人の、ゐずまひもかしこまりたる気色にて、碁盤よりはすこし遠くて、およびて、袖の下は、いま片手して控へな…
枕草子 第百四十段 恐ろしげなるもの 恐ろしげなるもの。 橡の梂(ツルバミノカサ)。 焼けたる野老(トコロ・山芋)。 水茨(ミズフブキ・鬼蓮)。 菱。 髪多かる男の、洗ひて乾すほど。 見た目に恐ろしいもの。 つるばみのかさ(クヌギの実のかさ、即ち大…
枕草子 ちょっと一息 平安の装束 平安時代の人々は、どのような服装をしていたのでしょうか。 私などは、平安時代の装束といえば、まず十二単が浮かんでくるのですが、実際は実に多彩な着物が用いられていたようです。 その実態についても、一般庶民、特に地…
枕草子 第百四十段 清しと見ゆるもの 清しと見ゆるもの。 土器(カワラケ)。 新しき鋺(カナマリ・金属製の碗)。 畳に刺す薦。 水をものに入るる透影(スキカゲ)。 清らかに美しく見えるもの。 土器。 新しい金属製のおわん。 畳の表にするこも。 水を容…
枕草子 第百四十二段 卑しげなるもの 卑しげなるもの。 式部丞の笏。 黒き髪の筋わろき。 布屏風の新しき。古り黒みたるは、さるいふかひなきものにて、なかなか何とも見えず。新しう仕立てて、桜の花多く咲かせて、胡粉・朱砂など彩りたる絵ども描きたる。 …
枕草子 第百四十三段 胸つぶるるもの 胸つぶるるもの。 競馬(クラベムマ)見る。 元結縒る(モトユヒヨル)。 親などの、「心ちあし」とて、例ならぬ気色なる。まして、「夜の中など騒がし」ときこゆる頃は、万づのことおぼえず。 まだものいはぬ乳児の泣き…
枕草子 第百四十四段 愛しきもの 愛(ウツク)しきもの。 瓜に描きたる乳児の顔。 雀の子の、鼠鳴きするに躍り来る。 二つ、三つばかりなる稚児の、いそぎて這ひ来るみちに、いと小さき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大…
枕草子 第百四十五段 人映えするもの 人映えするもの。 ことなることなき人の子の、さすがにかなしうしならはしたる。 咳(シハブキ)。恥づかしき人にものいはむとするに、先に立つ。 あなたこなたに住む人の子の、四つ、五つなるは、あやにくだちて、もの…
枕草子 第百四十六段 名恐ろしきもの 名恐ろしきもの。 青淵。谷の洞。鰭板。鉄。土塊。 (以下割愛) 名前が恐ろしいもの。 あおふち(青く見える深い淵)。たにのほら(谷の洞穴)。はたいた(板塀の一種。鰭という魚類の気味悪さをいっているらしい)。く…
枕草子 第百四十七段 見るにことなることなきものの 見るにことなることなきものの、文字に書きてことごとしきもの。 覆盆子。鴨頭草。水茨。 蜘蛛。胡桃。文章博士。得業生。 皇太后宮権大夫。楊梅。 いたどりはまいて。「虎の杖」と書きたるとか。杖なくと…
枕草子 第百四十八段 むつかしげなるもの むつかしげなるもの。 縫物の裏。 鼠の子の、毛もまだ生ひぬを、巣の中よりまろばし出でたる。 裏まだつけぬ皮ぎぬの縫ひ目。 猫の耳の中。 殊に清げならぬところの、暗き。 ことなることなき人の、子などあまた、持…
枕草子 第百四十九段 えせ者のところ得るをり えせ者のところ得るをり。 正月の大根(オオネ)。 行幸のをりの姫大夫(ヒメマウチギミ)。 御即位のみかど司。 六月・十二月の晦の、節折(ヨヲリ)の蔵人。 (以下割愛) つまらない者が幅を利かせる時。 正…
枕草子 第百五十段 苦しげなるもの 苦しげなるもの。 夜泣きといふわざする乳児の乳母。 想ふ人二人持ちて、こなたかなたふすべらるる男。 こはきもののけにあづかりたる験者。験だにいちはやからば、よかるべきを、さしもあらず、さすがに、「人わらはれな…
枕草子 ちょっと一息 身分社会 清少納言が生きた平安時代は、厳しい身分社会でした。 清少納言が宮仕えをした頃は、京都に都が築かれてすでに二百年が経ち、平安朝文化の真っただ中にあり、藤原氏の権力が盤石のものになっていました。まだ、武士権力は登場…
枕草子 第百五十一段 羨ましげなるもの 羨ましげなるもの。 経など習ふとて、いみじうたどたどしく、忘れ勝ちに、返す返すおなじところを読むに、法師はことわり、男も女も、くるくるとやすらかに読みたるこそ、「あれがやうに何時の世にあらむ」と、おぼゆ…
枕草子 第百五十二段 疾くゆかしきもの 疾(ト)くゆかしきもの。 巻染・村濃、括りものなど染めたる。 人の、子生みたるに、男・女、疾くきかまほし。よき人さらなり、えせ者・下種の際(キハ)だに、なほゆかし。 除目の早朝(ヂモクのツトメテ)。かなら…
枕草子 第百五十三段 心もとなきもの 心もとなきもの。 人のもとに、頓(トミ)のもの縫ひにやりて、「いま」「いま」と、苦しう居入りて、あなたを目守(マモ)らへたる心ち。 子生むべき人の、そのほど過ぐるまで、さる気色もなき。 遠きところより、想ふ…
枕草子 第百五十四段 故殿の御服の頃 故殿の御服(オンプク)の頃、六月の晦の日、大祓といふ事にて、宮の出でさせたまふべきを、職の御曹司を「方悪し」とて、官のつかさの朝所(アイタドコロ)に渡らせたまへり。 その夜さり、暑く、わりなき闇にて、何と…
枕草子 第百五十五段 弘徽殿とは 弘徽殿とは、閑院の左大将の女御をぞきこゆる。 その御方に、打臥という者の女(ムスメ)、左京といひて、さぶらひけるを、 「源中将、語らひてなむ」 と、人々笑ふ。 宮の、職におはしまいしに、まゐりて、 「時々は、宿直…
枕草子 第百五十六段 昔おぼえて不用なるもの 昔おぼえて不用なるもの。 暈繝端の畳の、節出で来たる。 唐絵の屏風の、黒み、面そこなはれたる。 絵師の、目暗き。 七、八尺の鬘の、赤くなりたる。 葡萄染の織物の、灰かへりたる。 色好みの、老いくづほれた…
枕草子 第百五十七段 頼もしげなきもの 頼もしげなきもの。 心短く、人忘れがちなる壻(ムコ)の、常に夜離(ヨガ)れする。 虚言(ソラゴト)する人の、さすがに人の、事成し顔にて、大事請けたる。 風早きに、帆かけたる船。 七、八十ばかりなる人の、心ち…
枕草子 第百五十八段 読経は不断経 読経は、不断経。 読経は、不断経(フダンギョウ)がもっとも尊い。 不断経というのは、ある期間、多数の僧侶が交代で日夜途切れることなく経典を読み続ける修法(ズホウ)のことをいいます。願の軽重により、七日、二十一…
枕草子 第百五十九段 近うて遠きもの 近うて遠きもの。 宮祭。 思はぬ同胞・親族の仲。 鞍馬のつづらをりといふ道。 師走の晦の日・睦月の朔(ツイタチ)の日の程。 近いのに遠いもの。 みやのべのまつり。 薄情な兄弟姉妹や親族の仲。 鞍馬のつづら折とい…
運命紀行 激動の陰で 明智光秀が謎多い戦国武将であることは別稿で述べてきた。 それは、光秀という人物の生涯そのものや、心情についてであるが、その子孫についても同じことが言える。 もっとも、この時代の人物の家族関係や妻や子のその後についは、不明…
枕草子 第百六十段 遠くて近きもの 遠くて近きもの。 極楽。 船の路。 人の仲。 遠いけれど近いもの。 極楽。 船の路。 男女の仲。 前段の逆のテーマです。 最初の「極楽」は、仏典からきているのでしょうが、もっと単純に、十万億土という遠い所にあるが、…
小さな小さな物語 第十一部 第601回 から 第660回 まで収めています
小さな小さな物語 目次 ( 601 ~ 620 ) No.601 春の訪れ 602 ハーフ・ハーフ 603 寄り道 604 期間限定 605 ゴーストライター 606 あるかなしか 607 言いたい放題 608 春分の日 609 針の穴を通す 610 チームワーク 611 …
ソチ・オリンピックも、いくつもの感動を与えてくれながら、無事終了しました。 ロスソチという言葉もあるそうですが、深夜放送が多かったこともあり、熱心なファンには生活のリズムを狂わせた人もいるそうです。 各競技に出場された選手の方々には、お疲れ…