雅工房 『 日々これ好日 』

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2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

今昔物語 巻二十六 ご案内

今昔物語 巻二十六 ご案内 巻二十六は、全体の中の位置付けとしては、「本朝世俗部」の一部に当たり、諸国の奇談異聞を収録しており、全二十四話から成っています。 本朝世俗部は、巻二十一から始まっているとされますが、巻二十一が欠巻のため実質的には巻…

鷲にさらわれた赤子 ・ 今昔物語 ( 巻 26-1 )

鷲にさらわれた赤子 ・ 今昔物語 ( 巻 26-1 ) 今は昔、 但馬国七味郡川山の郷(サト)に住んでいる人がいた。 その家に一人の赤子がいて、庭ではいはいをして遊んでいた。 ちょうどその時、鷲が空を舞っていたが、庭で遊んでいる赤子を見つけて、急降下して…

蕪にまつわる奇談 ・ 今昔物語 ( 巻 26-2 )

蕪にまつわる奇談 ・ 今昔物語 ( 巻 26-2 ) 今は昔、 京より東国に下る男がいた。 いずれの国かいずれの郡かは知らないが、ある郷に通りかかったところ、にわかに激しい淫欲に襲われ、女のことが気が狂わんばかりに頭に浮かび我慢出来ない状態になっていたが…

大水に流された少年 ・ 今昔物語 ( 巻 26-3 )

大水に流された少年 ・ 今昔物語 ( 巻 26-3 ) 今は昔、 美濃国に因幡河(イナバノカワ・長良川の古称)という大きな川がある。雨が降って水があふれる時には、はかり知れないほどの大洪水を起こす川である。 そこで、その川の近くに住む人々は、洪水の時に備…

指貫のくくり紐 ・ 今昔物語 ( 巻 26-4 )

指貫のくくり紐 ・ 今昔物語 ( 巻 26-4 ) 今は昔、 大学頭藤原明衡(ダイガクノカミ フジワラノアキヒラ・1066年七十八歳で没。出雲守、文章博士など務めたが、従四位下が最高位と藤原氏としてはあまり恵まれていなかった)という博士がいた。その人がまだ若…

継子と継母(1) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 )

継子と継母(1) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 ) 今は昔、 陸奥の国に権勢と財力を有している家に兄弟がいた。 兄は弟より何事につけ勝っていた。彼はその国の介(スケ・国府の次官)として政務を執り行っていたので、国府の館に常駐していて、自宅にいることは稀で…

継子と継母(2) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 )

継子と継母(2) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 ) ( (1)より続く ) 大夫介の後妻に入り男の子の継母となった女は、目を付けていた郎等の男を完全に手なずけた後で、その男に娶せた女からその男に、「今はすっかりあなたを頼りにしているので、思ってい事を何もかも…

継子と継母(3) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 )

継子と継母(3) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 ) ( (2)より続く ) 叔父(大夫介の弟)の家は、五町(500mほど)ばかり離れていたが、人に出会わないで、遥か四、五十町も連れ出して野原に入った。うまくいったと思いながら、道もない野原をさらに進むと、若君が「…

継子と継母(4) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 )

継子と継母(4) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 ) ( (3)より続く) 「なんとむごいことをするのだ」と、大夫介の弟とその舎人男の主従は、掘った穴の中に埋められていた子を引き上げてみると、何とそれは、主人(大符介の弟)が会いに行こうとしていた甥っ子だったの…

継子と継母(5) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 )

継子と継母(5) ・ 今昔物語 ( 巻 26-5 ) ( (4)より続く) 子供の叔父である大夫介の弟は、「まずは、大夫介殿に急いで知らさねばならぬ」と言って使者を出すことにしたが、「手紙を差し上げよう」ということで、「申し上げる事があって参上いたしましたとこ…

継母と娘 ・ 今昔物語 ( 巻 26-6 )

継母と娘 ・ 今昔物語( 巻 26-6 ) 本稿は、表題に『 継母託悪霊人家将行継娘語第六 』とあるだけで、本文はすべて欠文となっている。 表題の読みは、『 ままははに つきたる あくりょう ひとのいえに ままむすめを いてゆくこと だいろく 』となるが、本文が…

生贄の娘を救う ・ 今昔物語 ( 巻26-7 )

生贄の娘を救う ・ 今昔物語 ( 巻26-7 ) 今は昔、 美作国に中参(チュウザン)と高野(コウヤ)という二神が鎮座していた。その御神体は、中参は猿、高野は蛇であられた。 毎年一度お祭りする時には、生贄を供えていた。その生贄には、国中の娘の中から未婚…

飛騨の不思議な国 (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 )

飛騨の不思議な国 (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 ) 今は昔、 仏道修行をして各地を歩く僧がいた。行く先を定めることなく行脚を続けているうちに、飛騨国まで行った。 ところが、山深く入ってしまい道に迷ってしまって人里に出られなくなり、道と思われる木の葉…

飛騨の不思議な国 (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 )

飛騨の不思議な国 (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 ) ( (1)より続く ) その後、夜に入り、年の頃二十歳ばかりの姿形の美しい女性を、きれいに着飾った姿で、家の主が連れて来て、「この娘を差し上げます。今日からは私が可愛がってきたように、可愛がってやって…

飛騨の不思議な国 (3) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 )

飛騨の不思議な国 (3) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 ) ( (2)より続く) さて、いよいよその当日になると、僧であった男に沐浴をさせ、装束をきちんと着せ、髪をとかせ髻(モトドリ)を結わせて、鬢(ビン・結髪の左右両側に当たる部分)の毛を美しく整えさせるなど…

飛騨の不思議な国 (4) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 )

飛騨の不思議な国 (4) ・ 今昔物語 ( 巻26-8 ) ( (3)より続く ) やがて、生贄とされた僧の男は、妻と舅となった主人の家に行き、「門を開けよ」と叫んだが、物音さえしない。 「心配せずに開けよ。決して悪いことなどない。開けなければ、かえって悪いこと…

加賀の離れ小島 (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-9 )

加賀の離れ小島 (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-9 ) 今は昔、 加賀の国の某(意識的な欠字)郡に住む下賤の者七人は、一党として、いつも海に出て釣りをするのを長年仕事としてきた。 ある時、この七人が一つの船に乗って漕ぎ出した。この者どもは釣りをしに出たの…

加賀の離れ小島 (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-9 )

加賀の離れ小島 (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-9 ) ( (1)より続く ) さて、島の主の男が、敵が攻めてくるといっていた方向を見てみると、「風が吹き起こり、海の色がただならぬ怖ろしげな様相」となっていると思っているうちに、海面が真っ青となり、光っている…

妹兄の島 ・ 今昔物語 ( 巻26-10 )

妹兄の島 ・ 今昔物語( 巻26-10 ) 今は昔、 土佐国幡多郡に下賤な男が住んでいた。自分が住んでいる浦(海浜)とは違う他所の浦で田を作っていたが、自分が住んでいる浦の田に籾を巻いて苗代を作り、その苗を船に積み、田植え人などを雇い引き連れて、食物を…

糸を吐く犬 ・ 今昔物語 ( 巻26-11 )

糸を吐く犬 ・ 今昔物語 ( 巻26-11 ) 今は昔、 参河国某(意識的な欠字)郡に一人の郡司がいた。妻を二人持ち、それに蚕を飼わせて、糸をたくさん作らせていた。 ところが、本妻の所の蚕が、どういうわけか全部死んでしまい、蚕を育てられなくなったので、夫…

幸せを呼ぶ帯 ・ 今昔物語 ( 巻26-12 )

幸せを呼ぶ帯 ・ 今昔物語 ( 巻26-12 ) 今は昔、 能登国に、鳳至の孫(フケシノソン・鳳至という地名を名前とする者の子孫、という意味らしい)といって、そこに住む者がいた。 この男がまだ貧しくて、生活も苦しかったころ、家に怪しい兆候があったので、陰…

銀の腰掛け ・ 今昔物語 ( 巻26-13 )

銀の腰掛け ・ 今昔物語 ( 巻26-13 ) 今は昔、 兵衛の佐(ヒョウエノスケ・左右兵衛府の次官)某々(意識的な欠字)という人がいた。冠の上緌(アゲオ・冠を結び付ける紐で、余りは下にたれ下げる)が長かったので、世間の人は、上緌の主と呼んでいた。 さて…

憎しみは消えない ・ 今昔物語 ( 巻26-14 )

憎しみは消えない ・ 今昔物語 ( 巻26-14 ) 今は昔、 陸奥の守、何某(意識的な欠字)という人がいた。また同じ頃、某々(意識的な欠字)という者がいた。 二人がまだ若い頃、某々は陸奥守が意外なことに自分をたいそう憎んでいることがあったのを知らずに仕…

佐渡の黄金 ・ 今昔物語 ( 巻26-15 )

佐渡の黄金 ・ 今昔物語 ( 巻26-15 ) 今は昔、 能登の国には鉄(クロガネ)の鉱石という物を取って、国司に納めることを生業としている者たちがいた。 さて、実房(本文は欠字となっている)という国司が在任中のことで、その鉄を掘る者が六人いたが、仲間内…

恵みの真珠 ・ 今昔物語 ( 巻26-16 )

恵みの真珠 ・ 今昔物語 ( 巻26-16 ) 今は昔、 鎮西の筑前の国に、(姓の部分は意識的欠字となっている。「秦」か?)貞重という権勢・財力ともに優れた者がいた。字(アザナ)を京大夫といった。今いる筥崎大夫(ハコザキノタイフ)則重の祖父である。 その…

芋粥を求めて (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-17 )

芋粥を求めて (1) ・ 今昔物語 ( 巻26-17 ) 今は昔、 利仁の将軍(トシヒトノショウグン)という人がいた。 若い頃は、藤原基経(推定で、本文は意識的欠字になっている)という当時の関白に仕える侍であった。越前国の藤原有仁(フジワラノアリヒト・藤原は…

芋粥を求めて (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-17 )

芋粥を求めて (2) ・ 今昔物語 ( 巻26-17 ) ( (1)より続く ) さて、その夜は道中で一泊した。翌朝は早くに出立して進んで行くと、本当に巳時頃に、二、三十町ばかり向こうから一団となって来る者たちがあった。 「何だろうか」と見ていると、利仁が「昨日…

盗人の恩返し ・ 今昔物語 ( 巻26-18 )

盗人の恩返し ・ 今昔物語 ( 巻26-18 ) 今は昔、 稚児たちを撫で歩いた観硯聖人(カンゲンショウニン)という人がいた。 この人がまだ若く、在俗(出家前)であったころ、親の家に住んでいたが、ある夜、「壺屋(ツボヤ・納戸、物置のような部屋)に盗人が入…

鬼神の予言 ・ 今昔物語 ( 巻26-19 )

鬼神の予言 ・ 今昔物語 ( 巻26-19 ) 今は昔、 東国の方に行く者がいた。 どこの国かは知らないが、ある人里を通っているうちに日が暮れたので、「今夜だけこの村で宿をとろう」と思って、小家(コイエ・貴族の大邸宅に対する庶民の家を指す)ながらもゆった…

哀しき因縁 ・ 今昔物語 ( 巻26-20 )

哀しき因縁 ・ 今昔物語 ( 巻26-20 ) 今は昔、 ○国○郡(○は意識的な欠字)に住んでいる人がいた。 その人の家に、十二、三歳ばかりの少女の召使いがいた。また、その隣に住んでいる人の家で白い犬を飼っていたが、どういうことか、この少女を見ると敵かのよ…