雅工房 『 日々これ好日 』

関連ブログ 「雅工房『作品集』https://miyabikohboh.hateblo.jp/」 「雅工房『小さな小さな物語』https://miyabikohboh.hatenablog.com/」 

2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ちょっと一息 ・ 随筆という分類

枕草子 ちょっと一息 随筆という分類 一般的な辞書で「枕草子」を調べてみますと、最初に「平安中期の随筆」という説明がなされています。 学校などでも、そのように教えられているようですし、和歌でも詩でもなく、小説でもなく日記文学でもありませんから…

細殿に便なき人

枕草子 第二百二十一段 細殿に便なき人 「細殿に、便なき人なむ、暁に傘さして出でける」 と、いひ出でたるを、よくきけば、わがうへなりけり。 「地下などいひても目やすく、人にゆるさるばかりの人にもあらざなるを、あやしのことや」 と思ふほどに、上よ…

三条の宮におはしますころ

枕草子 第二百二十二段 三条の宮におはしますころ 三条の宮におはしますころ、五日の菖蒲の輿など持てまゐり、薬玉まゐらせなどす。若き人々、御匣殿など、薬玉して、姫宮・若宮に著(ツ)けたてまつらせたまふ。 いとをかしき薬玉ども、ほかよりまゐらせた…

御乳母の大輔の命婦

枕草子 第二百二十三段 御乳母の大輔の命婦 御乳母の大輔の命婦、日向へ下るに、賜はする扇どものなかに、片つかたは、日いとうららかにさしたる田舎の館など多くして、いま片つかたは、京のさるべきところにて、雨いみじう降りたるに、 茜さす日に向かひて…

清水にこもりたりしに

枕草子 第二百二十四段 清水にこもりたりしに 清水にこもりたりしに、わざと御使して賜はせたりし、唐の紙の赤みたるに、草(サウ)にて、 「『 山近き入相の鐘の声ごとに 恋ふる心の数は知るらむ 』 ものを、こよなの長居や」 と書かせ給へる。 紙などの、…

運命紀行  天下所司代

運命紀行 天下所司代 「所司代」というと言葉は、室町幕府の職名として登場している。 都の治安警護の任務に携わる役所が「侍所」で、その長官は「所司(あるいは頭人)」であり、その代官が「所司代」というわけである。 もっとも、「侍所」という役所は鎌倉…

駅は梨原

枕草子 第二百二十五段 駅は梨原 駅は、梨原、望月の駅。 山の駅は、あはれなりしことをききおきたりしに、またもあはれなることのありしかばなほ取り集めて、あはれなり。 駅(ムマヤ・街道に設けられた乗継用の馬を置く駅舎)は、梨原。望月の駅。(共に和…

社は布留の社

枕草子 第二百二十六段 社は布留の社 社は、 布留の社。生田の社。丹比の御社。花淵の社。 すぎの御社は、「印(シルシ)やあらむ」と、をかし。 言のままの明神、いと頼もし。「『さのみききけむ』とや、いはれたまはむ」と思ふぞ、いとほしき。 (以下割愛…

一条の院をば

枕草子 第二百二十七段 一条の院をば 一条の院をば、「新内裏」とぞいふ。 おはします殿(デン)は、清涼殿にて、その北なる殿に、おはします。西・東は、渡殿にて、渡らせたまひ、まうのぼらせたまふ道にて、前は、壺なれば、前栽植ゑ、笆(マセ)結ひて、…

身を変へて天人

枕草子 第二百二十八段 身を変へて天人 「『身を変へて天人』などは、かうやあらむ」と見ゆるものは、ただの女房にてさぶらふ人の、御乳母になりたる。 唐衣も着ず、裳をだにも、よういはば着ぬさまにて、御前に添ひ臥し、御帳のうちをゐどころにして、女房…

雪高う降りて

枕草子 第二百二十九段 雪高う降りて 雪高う降りて、今もなほ降るに、五位も四位も、色うるはしう若やかなるが、袍(ウヘノキヌ)の色いと清らにて、革の帯の形つきたるを、宿直姿にひきはこへて、紫の指貫も、雪に冴え映えて濃さまさりたるを着て、衵の、紅…

細殿の遣戸を

枕草子 第二百三十段 細殿の遣戸を 細殿の遣戸を、いと疾う押し開けたれば、御湯殿の馬道より下りて来る殿上人、萎えたる直衣・指貫の、いみじう綻びたれば、色々の衣どものこぼれ出でたるを、押し入れなどして、北の陣ざまに歩みゆくに、開きたる戸の前を過…

ちょっと一息 ・ 「あはれ」なりけり

枕草子 ちょっと一息 「あはれ」なりけり 清少納言が仕えた中宮定子(後に皇后)は、中関白家の姫君として栄華の絶頂を経験しますが、やがて、父道隆の死去と共に不遇となり、道長の娘彰子にその地位を奪われていきます。そして、第二皇女誕生と共に崩御。数…

岡は船岡

枕草子 第二百三十一段 岡は船岡 岡は、 船岡。片岡。 鞆岡は、笹の生ひたるが、をかしきなり。 談の岡。人見の岡。 岡は、 船岡。片岡。 鞆岡は、笹が生えているのが、いいのです。 談(カタラヒ)の岡。人見の岡。 いずれも、山城と大和に実在するもののよ…

降るものは雪

枕草子 第二百三十二段 降るものは雪 降るものは、 雪。 霰。 霙は憎けれど、白き雪のまじりて降る、をかし。 降るものは、 ゆき。 あられ。 みぞれは憎らしいけれど、白い雪が混じって降るのは、情緒があります。 少納言さまのお好みといいますか、情緒のあ…

雪は檜皮葺いとめでたし

枕草子 第二百三十三段 雪は檜皮葺いとめでたし 雪は、檜皮葺、いとめでたし。すこし消えがたになりたるほど。 まだいと多うも降らぬが、瓦の目毎に入りて、黒う丸に見えたる、いとをかし。 時雨・霰は、板屋。 霜も、板屋、庭。 雪は、檜皮葺(ヒハダブキ)…

日は入日

枕草子 第二百三十四段 日は入日 日は、 入日。入り果てぬる山の端に、光、なほとまりて、赤う見ゆるに、淡黄ばみたる雲の、たなびきわたりたる、いとあはれなり。 日は、日没の頃。沈みきった後の山の端に、光はまだ残っていて、その辺りが赤く染まって見え…

月は有明の

枕草子 第二百三十五段 月は有明の 月は、 有明の、東の山際に、細くて出づるほど、いとあはれなり。 月は、 明け方、東の山際に、細い姿を見せるのが、とても情緒があります。 有明の月というのは、日の出の後にも西に残っている下弦の月のことを指します。…

運命紀行  華やかに哀しく

運命紀行 華やかに哀しく 好き嫌いは別にして、戦国時代の人物のうち、最も華やかでドラマチックな活躍を見せた人物となれば、やはり豊臣秀吉ではないだろうか。 貧しい家に生まれ、戦国の世にあって武力的に優れていたわけではないが、その智謀と胆力を駆使…

星は昴

枕草子 第二百三十六段 星は昴 星は、 昴。牽牛星。太白星。 よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて。 星は、 すばる。ひこぼし。ゆふづつ(金星)。 よばひ星(流れ星)は、少し良いです。尾なんかがなければ、もっと良いのですが。 少納言…

雲は白き

枕草子 第二百三十七段 雲は白き 雲は、 白き。紫。黒きも、をかし。 風吹くをりの雨雲。 明け離るるほどの黒き雲の、やうやう消えて、白うなりゆくも、いとをかし。「朝に去る色」とかや、詩(フミ)にも作りたなる。 月のいと明かき面に、薄き雲、あはれな…

騒がしきもの

枕草子 第二百三十八段 騒がしきもの 騒がしきもの。 走り火。 板屋の上にて、鳥の、斎(トキ)の生飯(サバ)食ふ。 十八日に、清水に籠もり合ひたる。 暗うなりて、まだ火もともさぬほどに、ほかより人の来合ひたる。まいて、遠きところの他(ヒト)の国な…

ないがしろなるもの

枕草子 第二百三十九段 ないがしろなるもの ないがしろなるもの。 女官どもの髪上げ姿。 唐絵の革の帯のうしろ。 聖のふるまひ。 いい加減なもの。 下級の女官たちは、礼装は厳格でなければならないが、身分柄上等の物は使えず、安物の飾り櫛などをやたら付…

言葉なめげなるもの

枕草子 第二百四十段 言葉なめげなるもの 言葉なめげなるもの。 宮の祭文読む人。 船漕ぐ者ども。 雷鳴の陣の舎人。 相撲。 言葉遣いのきたないもの。 宮(ミヤノベ)の祭文読む人。(不吉を退け幸福を求めるために六柱の神をまつった祭りであるが、その祭…

ちょっと一息 ・ 平安の言葉

枕草子 ちょっと一息 平安の言葉 清少納言が生きていた時代、人々はどのような言葉を話していたのでしょうか。 テレビドラマや映画などで、私たちは平安時代の人々が会話するシーンを見ることが出来ます。 おそらく、歴史や時代考証などに優れた知識を持つ人…

さかしきもの

枕草子 第二百四十一段 さかしきもの さかしきもの。 今様の三歳児(ミトセゴ)。 乳児の祈りし、腹などとる女。物の具ども乞ひ出でて、折りものつくる、紙をあまたおし重ねて、いと鈍き刀して切るさまは、一重だに断つべくもあらぬに、さる物の具となりにけ…

ただ過ぎに過ぐるもの

枕草子 第二百四十二段 ただ過ぎに過ぐるもの ただ過ぎに過ぐるもの。 帆かけたる舟。 人の齢。 春・夏・秋・冬。 どんどん過ぎていくもの。 追い風に帆を張った舟。 人の年齢。 春・夏・秋・冬。 ごく分かりやすいたとえが三つ並んでいます。 「ただ過ぎに…

殊に人に知られぬもの

枕草子 第二百四十三段 殊に人に知られぬもの 殊に人に知られぬもの。 凶会日(クエニチ)。 人の女親の老いにたる。 うっかりしていると人が忘れているもの。 凶会日。 他人の年取った女親の存在。 凶会日とは、節季ごとに割り当てられる凶日のことで、日時…

文言葉なめき人こそ

枕草子 第二百四十四段 文言葉なめき人こそ 文言葉なめき人こそ、いと憎けれ。世をなのめに書き流したる言葉の憎きこそ。 さるまじき人のもとに、あまり畏まりたるも、げにわろきことなり。されど、わが得たらむはことわり、人のもとなるさへ、憎くこそあれ…

いみじうきたなきもの

枕草子 第二百四十五段 いみじうきたなきもの。 蛞蝓。 えせ板敷きの箒の末。 殿上の合子。 大変汚いもの。 なめくじ。 傷んだ板敷を掃く箒の先っぽ。 殿上の間の合子(ゴウシ・ふたのある漆塗りの椀)。 汚く気持ちの悪いものですから、少納言さまもさらり…