麗しの枕草子物語
食べに来たのですか
宮仕えする女房のもとに通ってきた男性が、その局で食事をするのですよ。食べさせる女も女ですが、全く腹立たしい限りです。
もっとも、女の方が、いかにも愛情をこめてすすめるのを、まるで忌み嫌うかのように、口を塞ぎ、顔をそむけるわけにもいかないのでしょうがねぇ。
そもそも、女房の局に通うとなれば、やはり少しは人目を気にしながら忍んで来るのでしょう? そんな大切なひとときなのに、むしゃむしゃ物を食べるなんて、全く信じられませんよ。
そうでしょう? 物を食べに来たのではありますまいに。全く・・・。
(第百八十六段・宮仕へ人のもとに、より)