雅工房 『 日々これ好日 』

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麗しの枕草子物語

麗しの枕草子物語 ご案内

麗しの枕草子物語 ご案内 千年の時を経て『 春はあけぼの。 やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、 紫だちたる雲の、細くたなびきたる。 』ご存知『枕草子』の冒頭部分です。今から千年余り前、平安王朝文学の全盛期に、清少納言は『枕草子』を書…

哀れなるかな翁丸

麗しの枕草子物語 哀れなるかな翁丸帝のお側近くで飼われている御猫は爵位をいただいておりまして、「命婦のおとど」と名付けられ、たいそう可愛がられておりました。ある日のこと、かの御猫は縁側で体を長々と伸ばして気持ちよさそうに寝ておりました。ただ…

学問も命がけ

麗しの枕草子物語 学問も命がけ中宮定子さまが、たいへん美しく気立てもとても優しいお方であることは、一度でもお会いになったことのある方なら承知されていることです。さらに、聡明さにおいても、それはそれは素晴らしいお方でございます。このお話は、中…

いつの世も宮仕えは

麗しの枕草子物語 いつの世も宮仕えは正月も十日を過ぎて、除目(ヂモク・春は地方官の、秋は宮中の官吏の定例の異動があった)の頃となりますと、任官を待つ家々では、悲喜こもごもの姿が見受けられます。今年こそは受領の任が与えられるという期待が大きい…

平安の高級車

麗しの枕草子物語 平安の高級車わたしたちの時代の乗用車といえば、もちろん牛車でございます。一口に牛車と申しましても、大臣や公卿方が用いる美しく飾られた車から、身分の低い者が使う荷車に屋根を付けたようなものまで様々なのです。使われる牛も、逞し…

桜の花の散るごとく

麗しの枕草子物語 桜の花の散るごとく小一条大将殿の御邸で、上達部(カンダチメ・上流貴族)の方々が「結縁の八講」を催されるとのことでたいそうな評判でございました。遅く行くと牛車の止める場所がないということなので、私は朝露とともに起きて参りまし…

男も女も後朝の頃は

麗しの枕草子物語 男も女も後朝の頃は七月の頃ともなりますと、あちらこちらを開け放ったままで夜も過ごしますので、夜中にふと目が覚めて外を見ますと、大きな月が美しく輝いていたりします。月のない闇夜でも、それはそれで捨てがたく、下弦の月が顔を出す…

明日は檜に

麗しの枕草子物語 明日は檜に「あすはひのきに」って木をご存知でしょうか?このあたりではあまり見かけない木ですし、私など名前も聞いたことがなかったのですが、吉野の御嶽に詣でられた方などが持って帰ってくるそうですよ。枝ぶりなどはとても荒々しくて…

鶯はお馬鹿さん

麗しの枕草子物語 鶯はお馬鹿さん鶯は、和歌ばかりでなく漢詩などでも素晴らしいものとして作られていて、声も姿もあれほど上品で可愛らしいのに、九重の内で鳴かないのは、いったいどういうつもりなのでしょうか。そのことを初めて聞きました時には、「まさ…

鬼の子哀れ

麗しの枕草子物語 鬼の子哀れ簑虫は、とても哀れなものでございますねぇ。簑虫は、鬼が産んだ子供ですから、「きっと親に似て、恐ろしい心を持っているはずだ」と決めつけられて、親からはみすぼらしい衣を着せられて、「すぐに秋風が吹きますからね、その頃…

みめ麗しき女官

麗しの枕草子物語 みめ麗しき女官 殿司(トノモツカサ・清掃や灯火などを担当する部署)に仕える女官は素敵ですねぇ。身分の高い女房が仕えるところではありませんが、良家の姫にもぜひ経験させたいようなお勤めです。若くて、しかもみめ麗しい女官が、きち…

朝帰りの心得

麗しの枕草子物語 朝帰りの心得想い人のもとから朝帰りをする男性には、それなりの心得があるはずですよ。まだ明けきれぬうちから起き出して、そそくさと身支度をするなどは最低です。いくら時間が気になるからといっても、寝床から離れるそぶりなど微塵も見…

昔話もほどほどに

麗しの枕草子物語 昔話もほどほどに秋の草花の中で、すすきに勝るものはございませんでしょう。蘇芳色(スオウイロ・黒味を帯びた赤色)に、それもとても色濃く輝き、特に、朝露に濡れてうちたなびいている姿は、秋の象徴ともいえるほどのすばらしさです。し…

カラスって面白い

麗しの枕草子物語 カラスって面白い カラスって、とても賢い鳥だってご存知ですか。でもね、おもしろいところもあるのですよ。 夜になると、それぞれの塒(ネグラ)に帰るのですが、夜中になっても寝場所が定まらないのがいるらしく、互いに場所を取り合って…

品格が顕れます

麗しの枕草子物語 品格が顕れます 郎等や従者の姿振る舞いを見ますと、主人の品格が想像できるものです。主人がつまらない用事で長居しているような時こそ、お供の郎等や従者の振る舞いが、多くのことを教えてくれます。待たされる時間が長くなり、夜も次第…

内裏の暮らし

麗しの枕草子物語 内裏の暮らし私が経験した宮中での生活の中では、登花殿の西廂の細殿での暮らしが、とても印象深く、情緒がありました。少し狭いので、里から人が訪ねてきた時など不便なこともありますが、通りに面しているものですから、いつも人目を気に…

雅やかな細殿

麗しの枕草子物語 雅やかな細殿登花殿の細殿のお話を続けましょう。たくさんある局のなかでも、登花殿の細殿は、人々の訪れも多く、華やかな宮中の風情が数多く見られる所です。多勢の人々が、詩を吟じ歌など詠いながらやってきますと、私も戸を開けて歓迎い…

華やかな日々

麗しの枕草子物語 華やかな日々中宮さまが、職の御曹司におはします頃、それはそれはすばらしい日々でございました。建物全体は古色を帯びていて、なかなか趣深いものでした。ただ、鬼が棲んでいるとのことなので母屋は締め切り、南側に建て増しをして中宮さ…

私って大泥棒?

麗しの枕草子物語 私って大泥棒?頭(トウ)の中将殿がなさる、私に関するいい加減な噂話を本当にされたのでしょうね、殿上の間などで、それはそれはひどい言葉で私のことをけなしておられました。そのことを伝えて下さる人も居られましたが、それを聞くだけ…

清少納言で十分

麗しの枕草子物語 清少納言で十分頭の中将殿が、ちょっとした誤解から私のことをひどくお憎しみになられていたことにつきしては、すでにお話させていただきました。そのことに関連して、頭の中将殿からのお手紙に、公任殿の御歌を拝借しまして『草の庵を誰か…

平安の伊達男

麗しの枕草子物語 平安の伊達男 頭(トウ)の中将殿とは、大変なお憎しみを受けたり、また格別にお引き立てをいただいたりと、なかなかに複雑な交際をさせていただきましたが、本当のお姿は実にすばらしい御方なのです。頭の中将殿、すなわち藤原斉信(タダ…

別れの理由

麗しの枕草子物語 別れの理由 私が里に戻っていた時のお話でございます。 里に帰っていても、殿上人などが訪ねてくることも少なくないのです。それも、さしたる用事もないのに寄って下さったりするものですから、それをいかにも物ありげな噂をする女房たちが…

雪山合戦

麗しの枕草子物語 雪山合戦 師走の十日過ぎのことでございます。 雪がたくさん降りましたので、女官たちに言いつけて縁に積み上げさせたりしていましたが、 「同じ集めるのなら、庭に本物の雪の山を作らせましょう」 と、私が申しますと、皆も賛同し、侍を呼…

六位の蔵人

麗しの枕草子物語 六位の蔵人 六位の蔵人と申しますのは、それはすばらしいものでございますよ。 決して身分は高くないのですが、何といっても主上のお側近くにお仕えするものですから、尊いお家柄の貴公子でさえお召になれない綾織物を平気で着ていて、その…

五節の舞姫

麗しの枕草子物語 五節の舞姫 中宮様が、五節の舞姫をお出しになるということで、付き添う女房は十二人ということになりました。 普通は八人くらいですし、女御や御息所の女房を付き添わせることはよろしくないと聞いておりましたが、中宮様は自らのお付きの…

「別れ」を知るや

麗しの枕草子物語 「別れ」を知るや 上の御局の御簾の前で、殿上人たちが一日中琴や笛を演奏して過ごして、燭台に火を灯す頃になっても御格子を下ろそうとなさいませんので、そのまま燭台を灯すことになってしまいました。 御局の戸も開いたままですから、琵…

あまり腹を立てないで

麗しの枕草子物語 あまり腹を立てないで 中宮様が南の院においでになられました頃のお話をいたしましょう。 「急ぎの御仕立物です。たれもたれも、すぐに手分けして、急いで縫って差し上げよ」 と、中宮様からの御命令がございました。 私たちは、日差しのよ…

ほととぎすを求めて

麗しの枕草子物語 ほととぎすを求めて 五月は梅雨の季節でございます。 月初めより雨が降ったり曇りがちの日などが続き、すっかり退屈しておりました。 そこで私が、 「ほととぎすを聞きに行きましょうよ」 と言い出しますと、 「私も」「私も」 という人が…

苦しき胸の内

麗しの枕草子物語 苦しき胸の内 さて、賀茂の奥にほととぎすを聞きにいった後のことでございます。 雷の騒ぎなどに紛れて、結局歌を詠まないままになってしまい、牛車に乗って行った人たちと、ほととぎすを聞きに行ったことは話題にしないようにしましょう、…

月の心境や如何に

麗しの枕草子物語 月の心境や如何に 八月十日過ぎのことでございます。 月がとても美しい夜で、中宮さまは、主上が遣わされました右近の内侍に琵琶を弾かせて、縁の端近くにお座りでございました。 女房たちは、話をしたり笑いあったりしていますが、私は廂…