『私たちは、一生のうち5年間は風邪をひいている』という記事を目にしました。
エスエス製薬さんの調査だそうですが、もちろん個人差はありますが、人は平均して1年に3回前後風邪をひき、完治するまで7日あまりかかり、平均寿命を85歳として計算すると、この程度になるそうです。
この3年あまり、わが国ばかりでなく、ほぼ全世界が新型コロナウィルスに席巻されたかのような状態になり、現時点でも、私たちの周辺からは新型コロナウイルスに感染したという情報は消えることなく、さらに、2~3年静かにしてくれていたインフルエンザもかなり流行しているようで、小さな医院の発熱患者への対応は大忙しのようです。
そうして診察を受けた患者さんのほぼほとんどの人は、「普通の風邪ですね」という医師の診断に、「ああ、良かった」という顔を見せるそうです。
昔から、「風邪は万病の元」という教えがありますように、あまり軽く考えるのは良くありませんが、「インフルエンザならまだましだが、コロナだったらどうしよう」という気持ちの人は、まだまだ少なくないようです。直接間接に入ってくる情報では、「普通の風邪とほとんど変らない」という人がかなり多いように思いますが、その一方で、大変な思いをされたり、後遺症に苦しんでいるという声も聞きます。著名人でもコロナで亡くなったという人が報じられてきただけに、まだしばらくは、「風邪で良かった」という風潮は続きそうですね。
「風邪」という言葉の語源は今一つはっきりしませんが、「風」に関係していることは多分間違いなく、「風の神(悪神)」がもたらすものと考えられていたようです。古くは、風邪といわれる病は、現代よりも広範囲なものを指していて、それで亡くなる人も少なくなかったようです。
「風邪は万病の元」という教訓も、その辺りのことが加味されているのかも知れません。
とても身近な病気ですが、いわゆる風邪に直接効く薬は未だに存在していないそうです。数多くの風邪薬が市販されていますし、医師に診てもらいますと、当然のように注射や薬を処方してくれますが、いずれも対処療法の物で、熱を下げたり、のどの痛みを和らげたり、咳や鼻水を抑えてくれる効果はあるとしても、風邪の病原を根治させる薬はないそうです。
「バカは風邪をひかない」
「これくらいで風邪をひいていては話にならない」
「風邪をひくなよ、転ぶなよ、義理は欠け」
「春に風邪をひけば夏の暑さに負けず、秋に風邪をひけば冬の寒さにも耐えられる」
などと言った、風邪にまつわる味わい深い言葉が幾つもあります。
また、いわゆる民間信仰に近いような、風邪への対処方法も数多くありますが、特効薬がないことを思えば、案外有効な物が含まれているようにも思われます。
それにしても、人間と最も付き合いの長い病の一つと思われる風邪ですが、私たちの生涯のうち「5年間」も風邪をひいているというのは少々驚きです。
平均寿命85年をベースにして考えてみましても、睡眠時間が1/3として「28年間」、学業や仕事が通う時間も含めて10時間×60年として「25年間」、その間の友人などとの付き合いが2時間×60年として「5年間」、食事や洗面入浴などにも一日3時間とすれば「10年間」、避けられない義理事が年に10日として「2年間」、人生の最初と最後の能動的に動けない時間を「5年間」としますと、残された時間は「10年間」・・まあ、この計算式は落語のネタになってしまいますが、この中から風邪をひかなくてはならない「5年間」を捻出しなくてはならないのですから、私たちの生涯は「風邪をひく間もない」ほど忙(セワ)しい物なのでしょう。
なんだか与太話になってしまいましたので、時間の計算を確認するのは勘弁して欲しいのですが、「自分が自分らしく生きられる時間」というのは、そう多くはないというのは本当ではないでしょうか。
心して一日一日を生きたいものです。
( 2024 - 03 -19 )