『 切ない恋が渦巻く初春でございます。 』
姫さまは、
「 知られじな 思ひ乱れて 夕煙 なびきもやらぬ 下の心は 」
と、ご返歌されたようです。
御所さまのお心に従わず思い悩んでいるあたしの心に、お気づきにならないのですね、とのご返事なのでしょうが、姫さまも恋する人には一人前の女性になるのでしょうか。
御所さま二十九歳、雪の曙殿二十三歳、そして二条の姫君十四歳の、切ない恋が渦巻く初春でございます。
( 「二条の姫君」第一章(六)より )