雅工房 『 日々これ好日 』

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秋の真ん真ん中 ・ 小さな小さな物語 ( 1576 )

昨夜は「中秋の名月」でした。旧暦の八月の十五日に当たるわけですが、旧暦では七、八、九月を秋としていますので、八月十五日は、まさに秋の真ん真ん中というわけです。
なお残暑は厳しく、熱中症に注意とか、台風の進路に一喜一憂、新型コロナもピークアウトは出来た感はありますが、まだまだ完全制圧にはほど遠い状態と、気の重い状況が多いですが、季節は揺るぐことなく前に進んでいます。
九月八日は二十四節気の「白露」で、秋も本格的になる頃とされています。次の二十四節気は「秋分」ですから、ここしばらくは秋そのものと言うべき季節なのです。

残念ながら当地は、中秋の名月を楽しむには適さないお天気でした。全国的にも、雲の多い天候の所が多かったようです。(今朝は、美しいお月様を拝ませていただきました。)
しかし、中秋のこの季節、お月様を存分に楽しむために、先人たちは、いろいろな名前を付けてお月見を楽しめるようにしてくれています。
列記してみますと、いずれも旧暦の八月ですが、「十四日は、小望月」「十五日は中秋の名月」「十六日は十六夜(イザヨイ)」「十七日は立待月」「十八日は居待月」「十九日は臥待月」「二十日は更待月」と続いています。
これだけ続いているのですから、お月様が最も美しいこの時期、どれか一つぐらいは、じっくりと月見とやらの風流を味わってみたいものです。

今、勉強しています「古今和歌集」は、幾つかに分類されて編集が行われています。
季節で言いますと、「春が 134首」「夏が 34首」「秋が 145首」「冬が 29首」となっていて、古の人も秋への想いは深かったようです。もっとも、「恋歌は 360首」ですから、季節全部でも及ばず、「愛」恐るべしと言うことでしょうか。
それはともかく、古今和歌集の中から、秋歌のうち「読み人しらず」とされている和歌五首を掲載させていただきます。
『 木の間より もりくる月の 影見れば 心づくしの 秋は来にけり 』
『 わがために くる秋にしも あらなくに 虫の音聞けば まづぞ悲しき 』
『 いつはとは 時はわかねど 秋の夜ぞ 物思ふことの 限りなりける 』
『 もみぢ葉の 散りてつもれる わがやどに たれをまつ虫 ここら鳴くらむ 』
『 緑なる ひとつ草とぞ 春は見し 秋は色々の 花にぞありける 』

異常気候だとか、人工的な冷暖房、あるいは、食べ物の季節感が薄れた、などとよく耳にします。しかし、春夏秋冬、季節はしっかりと廻っています。
特に、私たちの国は、若干の無理があるとしても、一年を四等分して四季を表す風習が根付いています。少々のずれなどは、「暦の上では秋ですが・・・」などといった名言で、むしろ楽しんでいる感があります。
日頃の慌ただしさに、あるいは、心に余裕がなくて、季節の変化に鈍くなっているように感じる時があります。しかし、ちょっとした草花や雑草にしても、その気にさえなれば、季節の変化を教えてくれます。
それを学んだからといって、何がどうなるわけでもありませんが、もしかすると、それを越える心の豊かさなど、そうそう無いのかもしれない。とも思うのです。

( 2022.09.11)