時の政権が少々どうなろうが、私個人の生活には大した影響などないのは分かっているのですよ。
でもね、贔屓の球団はだらしないし、訳の分からない覚書らしいもので政権が守られたり揺すぶられたりするのを見ると、なんだか面白くないんですよね。
「レミング」という動物がいるのをご存知でしょうか。主にスカンジナヴィア半島にいるネズミの仲間のこの小動物は、実に不思議な行動をすることで知られています。
「レミング」は雑食性で、性格は憶病、つまり慎重ということで比較的安定した生活圏を持っています。ふつうは、年に四、五匹の子供を産み、その程度が死んでいくので生存数は安定しています。
ところが、どういうわけか、爆発的に数が増えることがあるのです。七ないし九匹ほどの子供が、一シーズンに五回程も産まれ、その数は爆発的に増え食料は不足するようになるのです。
種族の危機を敏感に感じ取った「レミング」は移動を始めます。どのように選ばれたメンバーなのか、あちらこちらかに五匹、十匹と出てきて、やがて数百匹の群れとなります。こんな群れが、あちらの山こちらの丘から合流し、大群となって平地を波のようにうねりながら移動するのです。
普段は憶病なはずの「レミング」はこの移動の時には狂暴な大集団となり、人家の中であれ川の中であれ、一日に二十五キロ程も行進を続けるそうです。
あらゆるところから集まりだし、あらゆるルートを通りながらも、すべての群れは海に到着します。
北海の海は冷たく波は荒い。しかし「レミング」たちは、何の躊躇もなく、次々と荒海に飛び込んで行きます。辿りつける対岸など見えず、何十万、何百万という「レミング」たちは、おぼれ死んでいくのです。
この不思議な行動を、多くの科学者たちが推論しているそうです。
種を守るための集団自殺であるとか、かつて、海岸からごく近いあたりに食料が豊かな土地があり、祖先たちがその地に向かって移動したことを知っているのだ、とか・・・。
しかし、今なお疑問は解明されていないようです。ただ、残された「レミング」たちは、安定した生活圏を守ることができ、種は繁栄を続けてきているのです。
「レミング」がどこへ向かおうとしていたのか分からないように、私たちもどこへ行こうとしているのでしょうか。
「レミング」たちは、後に残る子孫たちのために、何の躊躇もなく冷たい荒海に飛び込んでいきます。さて、私たちにその覚悟ができるのでしょうか。「もっと食料を見つけられるはずだ」「隣の群から奪ってこい」「役に立たないやつには食べさせるな」「移動するのは無能な奴からにせよ」等々・・・。
このように、きっともめるのでしょうね。
それにしても、いま私たちはどこへ行こうとしているのでしょうね。
( 2011.06.05 )