雅工房 『 日々これ好日 』

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光明皇后の想い人(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 )

          光明皇后の想い人(2) ・ 今昔物語 ( 巻11-6 )

     ( (1)より続く )

鎮西に下った東人は、九州の軍勢を集めて広継を攻めようとしたが、これを知った広継は大いに怒った。
「私は朝廷の御為に間違ったことはしていないのに、朝廷は理不尽にも私を討とうとなされる。これはひとえに僧玄の讒言によるものだ」と言って、多くの軍勢を集め準備を整え待ち受けて戦ったが、朝廷方の軍勢が強く広継方は劣勢となった。
広継は竜馬(リョウメ)という名馬を持っていた。この竜馬は空をかけること鳥の如く野をかけること疾風の如くであったという。常には、その馬を乗物として、瞬く間に都に上り、あるいは鎮西に下っていたのである。

戦いは、広継奮戦するも朝廷の威光に勝てず、ついには責めたてられて広継は海上に逃れた。そして、乗っている竜馬を頼みとして高麗に渡ろうとした。しかし竜馬は、これまでのような勢いを失ってしまっていた。それを知った広継は、「もはや、我が運は尽きたり」と覚悟を決めて、馬もろともに海中に沈み死んでしまった。
一方、東人率いる大軍が責め寄せてきたが、広継が海に逃れたあとなので館には見当たらなかった。広継の姿を探し求めているうちに、沖から風が吹いてきて、広継が死体となって海岸に吹き寄せられてきた。
そこで東人は、その首を切り取って、都に持ち帰り、朝廷に奉った。

それから後、広継は悪霊となって、一方では朝廷を恨み奉り、一方では玄に復讐しようとした。
まず、その玄の前に悪霊が現れた。赤い衣を着て冠をつけた者が現れ、いきなり玄を掴み取って空に昇った。そして悪霊は、玄の身体をばらばらに引き裂いて地上に落とした。玄の弟子たちは、落ちてきた物を拾い集めて葬った。
その後も、悪霊は静まることがなかったので、天皇はひどく恐れて、「吉備大臣は広継の師である。すぐさま彼の墓に行って、何とかなだめて鎮めさせよ」と申し付けられた。

吉備大臣は宣旨を承り、鎮西に行って広継の墓に参り、言葉を尽くしてなだめたが、その霊の為に吉備大臣の方が危なくなりかけたが、吉備大臣は陰陽道を極めた人だったので、陰陽の術によって我が身を安全なように固めて、心をこめてなだめたので、その霊の祟りはおさまったのである。
その後、その霊は霊神(御霊)となって、その地に鏡明神(カガミノミョウジン)として祭られているのが、これである。
かの玄の墓は今も奈良にある、
となむ語り伝へたるとや。

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