わが家の小さな庭は、私の小さな王国でもあります。
ある人は、この庭を指して私の玩具だといいますが、いえいえ、私という立派な王のもとで運営される治安に優れた王国です。
ただ、植木にしろ、草花にしろ、野菜にしろ、なかなか私という治世者の言うことを聞いてくれないことが多く、まるでどこかの国のねじれ国会みたいなものです。そう言えば、土に種に苗に肥料など、手間暇は無料としても、その必要経費に対する収穫はあまりに少なく、これもまた、どこかの国家財政に酷似しています。
ところで、その王国に、トカゲが住んでいます。春先は青みがかった色をしていたのですが、最近は薄茶色になって、何だか大人びて見えます。おどおどしていたような顔つきも、最近ではめっきりと落ち着きを増し、何かと私に要求しているように見えます。
その数も、多分三匹はいると思われます。並んでいるのは見たことはないのですが、僅かな時間差で、全然違う場所で出会いますので、一匹にしてはあまりにも動きがすばしこく過ぎますので、最低三匹はいると推測しているわけです。
もっとも、彼らの顔は、なかなか見分けにくいので、もしかすると一匹が走り回っているのかもしれません。そうだとすれば、その動きは千変万化、もしかするとスーパートカゲかもしれません。
彼ら(三匹以上だとして)の行動範囲は広く、わが王国の至る所に出没します。ただ、懸命の探索とこの数年の行動パターンを研究してきた結果、彼らの本拠地は、冬の間は物置の下あたりらしく、温かい間はキンカンが植わっている茂みあたりらしいのです。
キンカンが植わっているあたりは、この季節スイセンをはじめ球根類が生い茂っており、すぐ横にはシュウメイギクがボリュームを増してきています。彼らの夏の本拠地がこのあたりと知ってからは、手を入れれるのを遠慮しているものですから、ますますこの一画は治外法権のようになってきているのです。
この数日、そのトカゲと出会うことが多いのですが、最近は堂々としていて、小さな身体の胸をそらし、何だか威厳に満ちているように思われます。何回か会っているのがおなじトカゲなのか別のものなのか、未だに判別できないのが実に残念なのですが、彼らはいずれかのトカゲ王国から脱出してきて、わが家の庭に新しい王国を築こうとしているのかもしれません。
わが王国は、花も野菜もなかなか一筋縄ではいかない奴らばかりですが、せめて高貴な風貌を持つあのトカゲに安住の王国が築けるように願っているこの頃です。
( 2011.05.21 )