雅工房 『 日々これ好日 』

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不思議な株主総会 ・ 小さな小さな物語 ( 295 )

今年の上場企業の株主総会は、荒れ気味の会社が多かったようです。
特に、東京電力については多くのメディアが取り上げ、大手新聞でさえ一面トップで扱う有様でした。
これまでも、いろいろな話題になった会社の株主総会は面白おかしく報道されたものですが、いえ、もちろんまじめな報道も沢山あったのでしょうが、大半は、まるで社会正義の伝道師だといわんばかりの報道が見られたことも確かです。
今回の、東京電力をはじめとした電力各社の株主総会の報道も同様のものが感じられ、何とも不思議な株主総会に思われて仕方がありません。


もっとも、私自身は、上場会社の株主総会というものに一度も出席した経験がありませんので、いろいろな報道などからの断片的な知識をベースにした意見に過ぎませんので、その点はご了解ください。
「会社はだれのものか」という論議が行われることが時々あります。
ITバブル華やかし頃、企業は株主のものであり、資本以外に会社を統制するものはないかのごとき理論が展開され、現実に決して少なくない会社が買い取られ売買され、その過程で膨大な利益を上げた時代の寵児のごとき人物も散見されました。
ただ、「会社は株主のものだ」という理論は、資本主義が発生して後、ごく短い期間のうちに、極めて陳腐な考え方とされ、特に巨大企業にとっては、社会との関わりを無視して存在することが困難なことは疑問の余地がないと言えるでしょう。
しかし、同時に、圧倒的多数を支配する大株主は、社会正義などに目をつぶり、社員の生活を無視し、恥ずかしいという考えを抑えることが出来れば、その会社をどのようにでもすることが出来るのも事実です。


一方で、巨大上場企業の株式をほんの少しばかり持っている株主には、どのような目的があるのでしょうか。法律的な権利がどうだ、ということではなく、もっと主観的なものなのですが。
これだと、若干なら私の経験も加味出来ます。
例えば、「値上がり益を期待」「配当が多いらしい」などが主流だと思いますが、他にも、「この企業が好き、あるいは憧れ」「あの製品が好き、CMタレントが好き」「勤め先、あるいは商売関係」等々。
「経営者の人格に惚れた」「企業素質が素晴らしい」などというのもありますが、それらの多くは、将来株価の上昇を期待しているのとあまり変わりがないように思われます。
ただ、「企業の体質を変えたい」と考えている小口の株主はいるのでしょうか。


上場企業の株主総会は、取締役の選任や決算の報告など、経営を託されている人たちが全株主に対して経営状況を報告し、総意を聞く場ですし、株主は、大株主は大株主として、小口株主は小口株主として、経営方針や姿勢に対して意見を述べる場なのでしょうね、きっと。
話題の多かった企業の小口株主と思われる総会参加者に対してのテレビインタビューを聞いていますと、おそらくテレビ局の意図的な編集もあるのでしょうが、「老後生活の当てにしていた配当がなくなってしまった」などというまことに深刻な人もありましたが、「原発からの撤退を決議すべきだった」「経営陣の対応が悪い」などといった声が数多く流されました。
小口株主の中にも、会社の経営方針や経営手法に対して熱い意見をお持ちの人も少なくないのですね。
ただ、そうだとすれば、小口株主といえども、会社の不祥事などについても、それなりの責任があるようにも思うのです。
社会に大きな迷惑をかけた企業の株主総会では、最初に社長が株主に不祥事を謝るのは少々変で、最初にやるべきことは、全株主が企業の起こした迷惑を社会に詫びるべきなのではないでしょうか。
そうでなければ、何とも身勝手な、不思議な株主総会に見えてしまうのですが。

( 2011.07.02 )