雅工房 『 日々これ好日 』

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脱原発への覚悟 ・ 小さな小さな物語 ( 293 )

福島第一原発事故は、依然一進一退の状況が続いているようです。
今回の大事故は、その発生の直接原因が大地震と大津波にあることは明白な事実ですので、現地で直接作業にあたっている人たちには何の責任もありません。何の心配もない場所から、適当な意見を述べている人の中には、初期対応云々を指摘している人もいますが、そんなのは「岡目八目」にも及ばない知恵ではないでしょうか。
むしろ、実に幼稚で無責任な数多くの「想定」に守られた科学の城を託されていた作業員の方々に同情申し上げ、その後の奮闘に感謝するばかりです。今は、危機的な環境の中でご苦労されている方々の力にすがるしかありませんので、どうぞ見捨てないでください。


しかし、この大事故は、多くの方面に啓示を与えるものになったのかもしれません。
すでに、欧米諸国をはじめ原発を所有し、あるいは所有しようとしている国々に大きな影響を与えています。
わが国でいえば、ロボットをはじめ、わが国の科学技術が必ずしも適切な開発がなされていなかったらしいことが見えてきました。つまり、「明日の飯のタネになる」もの以外には資金も人材もあまり配慮されていなかったらしいということです。
また、たかだか原子炉の三つや四つの破損だけでこのような状態になるのですから、放射性物質のコントロールはそれほど簡単なことではないらしいことが浮き彫りになりました。
同時に、この程度の危機にさえ、適切とまでは望まないとしても、現状のような対応しかできない指導者たちを選んでしまった、私たちの未熟さを突き付けられてしまいました。


ここに来て、脱原発の声が大きくなってきました。
私のような外野席でわあわあ言うのは勝手としても、突然「再生エネルギー法案」が政治の主要テーマになるのはどういうことなのでしょうか。もっと緊急で重要なことがあるのではないでしょうか。
ただ、浜岡原発を停止させた以上、わが国の原子力発電の将来は厳しい状態になったことでしょう。浜岡原発を停止させた一番の理由は、巨大地震の発生確率が高いからだとしています。福島第一原発の巨大地震の発生確率は「0」に近いものでした。そこであれだけの地震が発生したのですから、他の発電所が安全なはずがないという理論になってしまいます。地元の知事らが難色を示すのは当然のことです。つまり、浜岡原発を止めるということは、全ての原発が停止される可能性があることは、当然予測していたことでしょう。


原発に代わるエネルギー源は沢山あります。核燃料どころか石油と石炭がなくなっても困らないだけの新しいエネルギー源が沢山あるということを信じている私は、脱原発には大賛成です。
しかし、それらの新しいエネルギー源が戦線に加わるには、まだ若干の時間を必要としています。省電力の機器やシステムを開発するのも同様です。
その間は、危険を承知の上で原子力の力を借りるのか、節電でしのぐのか、私たちは、その覚悟が迫られているのです。
但し、脱原発を叫ぶのは一見格好がいいように思われますが、その覚悟の中には、家庭の電気を20%や30%節電するといったちゃちなことだけではなく、企業の生産力が落ち、有力な製造業は国内の設備投資を減らし、さらに海外移転を進めることも入れておく必要があります。
新しいエネルギー源が戦力となってきた頃には、わが国の工業生産力は落ち、雇用力はさらに落ち込んでいるでしょう。性急な脱原発を唱えるには、それらに耐える覚悟も必要となるのです。

( 2011.06.26 )