今昔物語拾い読み ・ その5
今昔物語 その5 巻第十八 から 巻第二十一 までを収録しています 全体の位置付けは 「本朝付仏法」ですが 巻第十八 と 巻第二十一 は 全文欠損になっています なお 記載順は 巻第二十一から巻第十八へと逆になっていますが ご了承下さい
今昔物語 巻第二十一 本巻は欠巻となっています 当初から 全く作成されなかったと考えられています
『 今昔物語 巻第二十 ご案内 』 巻第二十は、全体の中の位置付けとしては、『 本朝付仏法 』です。 因果応報を中心とした仏教説話が中心ですが、物語としても 興味深い物が少なくないと思われます。
『 天狗から僧正に ・ 今昔物語 ( 20 - 1 ) 』今は昔、天竺に天狗がいた。その天狗が、天竺から震旦に渡ってくる途中、海の水の一筋に「 諸行無常 是生滅法 生滅々已 寂滅為楽 」( ショギョウムジョウ ゼショウメッポウ ショウメツメツイ ジャクメツイラク …
『 震旦の天狗 ( 1 ) ・ 今昔物語 ( 20 - 2 ) 』今は昔、震旦に強い天宮(天狗)がいた。智羅永寿(チラヨウジュ・伝不詳)という。この者が、わが国に渡ってきた。その者が、わが国の天狗を尋ねて会い、「わが震旦の国には、とんでもない悪行を働く僧共が数多く…
『 震旦の天狗 ( 2 ) ・ 今昔物語 ( 20 - 2 ) 』 ( ( 1 ) より続く )さて、しばらくすると、多くの人の声がして、下の方から上ってくる一行がある。先頭には、赤い袈裟を着た僧が先払いしながらやって来る。その次には、若い僧が三衣筥(サンエノハコ・三衣を入…
『 仏に化ける ・ 今昔物語 ( 20 - 3 ) 』今は昔、延喜の天皇(第六十代醍醐天皇)の御代に、五条の道祖神(サエノカミ)が鎮座されている所に、大きな実のならない柿の木があった。その柿の木の上に、にわかに仏が出現なさるということがあった。有り難き光を放…
『 天狗を祭る法師 ・ 今昔物語 ( 20 - 4 ) 』今は昔、円融院の天皇が長らく御病であられたので、さまざまなご祈祷が行われた。中でも、御物の怪の仕業だということで、世間で験力があると知られた僧を数を尽くして召して、御加持を行わせたが、まったくその…
『 尼天狗に奪われる ・ 今昔物語 ( 20 - 5 ) 』今は昔、仁和寺(ニンナジ・代々法親王が門跡を継承する門跡寺院の筆頭。)に成典(ジョウテン・1044 没)僧正という人がいた。俗姓は藤原氏である。広沢の寛朝大僧正を師として、真言の密法を学び、長年にわたり修行…
『 阿闍梨を誘う女 ・ 今昔物語 ( 20 - 6 ) 』今は昔、京の東山に仏眼寺(ブツゲンジ・不詳。京都市左京区にあったともされる。)という所がある。そこに仁照阿闍梨(ニンショウ アジャリ・伝不詳。同名の人はいるが別人らしい。阿闍梨は高僧の敬称。階位として用いら…
『 鬼に魅入られた后 ・ 今昔物語 ( 20 - 7 ) 』今は昔、染殿の后と申すのは、文徳天皇の御母である。良房太政大臣と申される関白の御娘であり、容姿の美しいことは、格別であった。ところが、この后は、常に物の怪に悩まされていらっしゃったので、様々なご…
『 欠話 ・ 今昔物語 ( 20 - 8 ) 』 本稿の本文は、全文が欠話になっています。ただ、表題は残されていて、『 良源僧正成霊来観音院伏余慶僧正語 第八 』とあります。この部分から推定しますと、良源僧正が怨霊となって、余慶僧正を降伏した、といった内容…
『 天狗の術を習おうとした男 ・ 今昔物語 ( 20 - 9 ) 』今は昔、京に外術(ゲジュツ・外道の術といった意味で、幻術、奇術などを指す。)という事を好み、それを仕事にしている下衆な法師がいた。履いている足駄(アシダ・下駄のような履き物。)や尻切れ草履な…
『 滝口の武者の災難 ( 1 ) ・ 今昔物語 ( 20 - 10 ) 』今は昔、陽成院の天皇の御代に、滝口の武者(宮中警備を担当)に、金の使い(コガネノツカイ・陸奧国の産金を運送上納する使者。)として陸奧国に遣わしたが、道範(ミチノリ・伝不詳)という武者は、宣旨を承っ…
『 滝口の武者の災難 ( 2 ) ・ 今昔物語 ( 20 - 10 ) 』 ( ( 2 ) から続く )さて、道範の一行は、陸奧国からの帰途、あえて、あの郡司の家に宿泊することにした。郡司には、馬や絹など様々の品を多く与えたので、郡司は大いに喜んで、「これはまた、どうい…
『 竜と僧との助け合い ・ 今昔物語 ( 20 - 11 ) 』今は昔、讃岐国[ 欠字。「那珂」が入る。]郡に、万能の池(満濃池)という極めて大きな池がある。その池は、弘法大師が、この国の人々を哀れんでお造りになった池である。池の周囲は遙かに広く、堤を高く…
『 浄土に迎えられたはずの聖人 ・ 今昔物語 ( 20 - 12 ) 』今は昔、美濃国に伊吹山という山がある。その山で長年修行している聖人がいた。浅学無知で法文を学ばず、ただ弥陀の念仏を唱える以外の事は何も知らない。名は三修禅師(829 - 900 ・権律師になっ…
『 菩薩に矢を射た猟師 ・ 今昔物語 ( 20 - 13 ) 』今は昔、愛宕護の山(愛宕山に同じ。京都北西部にある。比叡山と対峙して王城鎮護の地として知られる。)に長らく仏道修行する持経者(ジキョウシャ・経典、とくに法華経を信奉する修行者。)の聖人がいた。長年…
『 欠話 ・ 今昔物語 ( 20 - 14 ) 』第十四話は、「野干変人形請僧為講師語第十四」という標題があるだけで、本文はまったく記されていません。標題の中の「野干」は、狐のことのようなので、狐が人を化かした、といった話かと想像できますが、当初から本文…
『 放生の功徳 ・ 今昔物語 ( 20 - 15 ) 』今は昔、摂津国東生郡撫凹村(ナデクボムラ・大阪市東成区ともされるが、所在よく分らない。)という所に住んでいる人がいた。家は大いに富み、財産は豊かであった。さて、その人は神の祟りを受け、それから遁(ノガ)れ…
『 地獄を見てきた男 ・ 今昔物語 ( 20 - 16 ) 』今は昔、文武天皇の御代に、膳広国(カシワデノヒロクニ・伝不詳)という者がいた。豊前国宮子郡の小領(ショウリョウ・郡の司の一つ。次官クラス。)である。その人の妻は先に死んでいたが、慶雲二年( 705 )という年の九…
『 布施の功徳と罪 ・ 今昔物語 ( 20 - 17 ) 』今は昔、讃岐国香水郡坂田の里(高松市内か?)に一人の金持ちがいた。姓は綾氏で、その妻も同じ姓であった。さて、その隣に年老いた媼(オウナ・年取った女)が二人住んでいた。共に寡婦で子供はいない。極めて貧…
『 肉体と魂が入れ替わった娘 ・ 今昔物語 ( 20 - 18 ) 』今は昔、讃岐国山田郡に一人の女がいた。姓は布敷氏である。この女が突然重い病にかかった。そこで、立派なご馳走を調えて、それを門の左右に祭って、疫神(ヤクジン・疫病を流行させる神。)に賄(マイナイ…
『 鬼を接待した男 ・ 今昔物語 ( 20 - 19 ) 』今は昔、橘磐島(タチバナノイワシマ・伝不詳)という者がいた。聖武天皇の御代に、奈良の都の人で、大安寺の西の郷に住んでいた。ある時、その寺の修多羅供(シュダラグ・大寺で行われる法会の一つ。)の銭四十貫を借り受…
『 牛になった僧 ・ 今昔物語 ( 20 - 20 ) 』今は昔、延興寺(エンコウジ・伝不詳)という寺があった。その寺に、エライ(僧名、原文は漢字書き。伝不詳)という僧が住んでいた。長年、この寺に住んでいる間に、寺の浴室用の薪一束を取って、人に与えたが、その…
『 因果応報を示す ・ 今昔物語 ( 20 - 21 ) 』今は昔、武蔵国多摩郡の大領(郡の長官)に、大伴赤麿(伝不詳)という者がいた。ところが、その赤麿は、天平勝宝元年( 749 )という年の十二月十九日に突然死んだ。次の年の五月七日、その家に黒い斑の子牛が…
『 後世での償い ・ 今昔物語 ( 20 - 22 ) 』今は昔、紀伊国名草郡の三上の村に一つの寺を造って、名を薬王寺(伝不詳)と名付けた。その後、喜捨を募って多くの薬を備えて、それをその寺に準備しておいて、すべての人々に施した。さて、聖武天皇の御代に、…
『 極楽往生の心得 ・ 今昔物語 ( 20 - 23 ) 』今は昔、比叡の山の横川(ヨカワ・東塔、西塔と共に比叡山三塔の一つ。)に一人の僧がいた。道心を起こして、長年の間、弥陀の念仏を唱えて、ひたすら極楽に生まれることを願っていた。法文に関しても知識が深かっ…
『 銭を惜しんで毒蛇となる ・ 今昔物語 ( 20 - 24 ) 』今は昔、奈良に馬庭山寺(マニワノヤマデラ・所在未詳)という所があった。その山寺に一人の僧が住んでいた。長い間その所に住んで、熱心に修業を積んでいたが、知恵がないために邪見(ジャケン・よこしまな考え…
『 乞食僧を殴る ・ 今昔物語 ( 20 - 25 ) 』今は昔、古京(コキョウ・平城京より前の京。飛鳥京、藤原京などを指す。)の時に、一人の男がいた。愚か者で、因果というものを信じようとしなかった。ある時、乞食(コツジキ・乞食修行)の僧がやってきて、その男の部…