雅工房 『 日々これ好日 』

関連ブログ 「雅工房『作品集』https://miyabikohboh.hateblo.jp/」 「雅工房『小さな小さな物語』https://miyabikohboh.hatenablog.com/」 

今昔物語拾い読み ・ その4

今昔物語 巻第十七 ご案内

今昔物語 巻第十七 ご案内巻第十七は、全体の中の位置付けとしては、前巻に続き「本朝付仏法」に当たります。地蔵菩薩霊験譚が中心で、諸菩薩や諸天の霊験譚も収録されています。やや霊験譚色が強すぎる感もありますが、今昔物語らしいとも言えるのではない…

地蔵菩薩を探し歩く ・ 今昔物語 ( 17 - 1 )

『 地蔵菩薩を探し歩く ・ 今昔物語 ( 17 - 1 ) 』今は昔、西の京の辺りに住んでいる僧がいた。道心があったので、熱心に仏道修行をしていた。その中でも、長年の間とりわけ地蔵菩薩に帰依して、ひたすら願っていたことは、「私は、この身のままで生き身の地…

地蔵の霊験に触れた二人 ・ 今昔物語 ( 17 - 2 )

『 地蔵の霊験に触れた二人 ・ 今昔物語 ( 17 - 2 ) 』今は昔、尾張の前司(ゼンジ・前任の国司)[ 欠字。氏名が入るが不詳。]という人がいた。長年、朝廷に仕えていたが、後には出家して入道(ニュウドウ・正規の修行をすることなく出家した者。)と称していた…

戦場に現れた小僧 ・ 今昔物語 ( 17 - 3 )

『 戦場に現れた小僧 ・ 今昔物語 ( 17 - 3 ) 』今は昔、近江国、依智郡、賀野の村(現在の愛知郡の内)に一つの古寺があった。その寺に地蔵菩薩の像が安置されている。その寺は、検非違使左衛門尉平諸道の先祖の氏寺である。その諸道の父は、極めて勇猛な者…

地蔵に助けられた無礼な男 ・ 今昔物語 ( 17 - 4 )

『 地蔵に助けられた無礼な男 ・今昔物語 ( 17 - 4 ) 』今は昔、備中国[ 欠字。「津」らしい。]郡に藤原文時(伝不詳)という者がいた。字(アザナ・通称)は大藤大夫(ダイトウダイブ)と言った。この者は、先祖相伝の良家の子孫である。その家はたいそう裕福で…

泥の中の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 5 )

『 泥の中の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 5 ) 』今は昔、陸奥の前司、平朝臣孝義(1023 年に陸奧守だったらしい。)という人がいた。その家に郎等として仕えている男がいた。本名は分からない。字(アザナ・通称)を藤二(トウジ)といった。さて、孝義が陸奧国の…

お堂を出た地蔵と毘沙門 ・ 今昔物語 ( 17 - 6 )

『 お堂を出た地蔵と毘沙門 ・ 今昔物語 ( 17 - 6 ) 』今は昔、土佐国に室戸の津という所がある。そこに、一つの草葺きのお堂がある。津寺という。そのお堂の軒の垂木の先端がみな焼け焦げていた。その所というのは、海の岸辺で、人里から遠く離れていて行き…

霊験あらたかなり清水寺 ・ 今昔物語 ( 17 - 7 )

『 霊験あらたかなり清水寺 ・ 今昔物語 ( 17 - 7 ) 』今は昔、近江国、志賀の郡に崇福寺(シュフクジ・志賀寺とも。668 年創建。平安時代初期までは十大寺の一つとされたが、火災が相次ぎ衰退した。)という寺があった。その寺に一人の僧が住んでいた。名を蔵明…

浄土へ還った沙弥 ・ 今昔物語 ( 17 - 8 )

『 浄土へ還った沙弥 ・ 今昔物語 ( 17 - 8 ) 』今は昔、陸奥国の国府に、小松寺(宮城県にあったらしい?)という寺がある。かなり前のことであるが、一人の沙弥(シャミ・見習い僧)がいて、その寺に住んでいた。名を蔵念(ゾウネン・伝不詳)という。これは、平…

母の飢えを救う ・ 今昔物語 ( 17 - 9 )

『 母の飢えを救う ・ 今昔物語 ( 17 - 9 ) 』今は昔、比叡の山の横川(ヨカワ・東塔、西塔と共に比叡山三塔の一つ。)に一人の僧がいた。名を浄源(ジョウゲン・伝不詳)という。俗姓は紀氏である。慶祐阿闍梨(キョウユウ アジャリ・946 年生れ。1007 年に生存の記録ある…

二世を利益する菩薩 ・ 今昔物語 ( 17 - 10 )

『 二世を利益する菩薩 ・ 今昔物語 ( 17 - 10 ) 』今は昔、京に祇陀林寺(ギダリンジ・1000 年に創建。現存していない。)という寺があった。その寺に、仁康(ニンコウ・源融( 嵯峨天皇の第十二皇子 ) の子。)という僧が住んでいた。これは、横川(ヨカワ・比叡山三…

僧への礼儀 ・ 今昔物語 ( 17 - 11 )

『 僧への礼儀 ・ 今昔物語 ( 17 - 11 ) 』今は昔、駿河国の富士宮に神主をしている者がいた。名を和気光時(ワケノミツトキ・伝不詳)といった。夫婦共に、長年の間熱心に地蔵菩薩を信仰していた。しかし、光時は神社に仕える身であるので、僧に出会っても下馬する…

仏師にもご利益 ・ 今昔物語 ( 17 - 12 )

『 仏師にもご利益 ・ 今昔物語 ( 17 - 12 ) 』今は昔、ある人が、阿弥陀仏をお造りしたついでに、古い地蔵菩薩を新たに彩色し直して、正法寺(三井寺内の一院らしい。)という寺に安置し奉った。この地蔵は、もとは三井寺の塔の内に在(マシマ)していたが、御…

落盤事故から助かった男 ・ 今昔物語 ( 17 - 13 )

『 落盤事故から助かった男 ・今昔物語 ( 17 - 13 ) 』今は昔、伊勢国の飯高郡(現在の松坂市あたり)に住んでいる下人(身分の賤しい者)がいた。毎月の二十四日(地蔵の縁日に当たる)に、精進して戒を受け、地蔵菩薩を念じ奉っていた。これが長年の勤めに…

夢のお告げに従う ・ 今昔物語 ( 17 - 14 )

『 夢のお告げに従う ・ 今昔物語 ( 17 - 14 ) 』今は昔、鎮西(チンゼイ・九州)の肥前国の背振山(セブリヤマ・福岡と佐賀の県境の山地にある。)という所は、書写山(ショシャノヤマ・姫路市の北部にあり、そこにある円教寺は西の比叡山と呼ばれる名刹。)の性空聖人(シ…

ご利益を施す身となる ・ 今昔物語 ( 17 - 15 )

『 ご利益を施す身となる ・ 今昔物語 ( 17 - 15 ) 』今は昔、愛宕護山(愛宕山と同じ。京都市北西部にあり、比叡山と対峙して王城鎮護の聖地として知られる。)に一人の僧が住んでいた。名を蔵算(ゾウザン・伝不詳)という。仁和寺の池上(仁和寺院家の一つ…

伊豆の孤島の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 16 )

『 伊豆の孤島の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 16 ) 』今は昔、伊豆国の大島郡に、海岸から遙かに離れ、鳥も獣も通うことが出来ない島がある。(この説明、分りにくい。大島とは別の小島のことらしい。)極めて不便な僻地である。その島の西南に当たる所に、一…

地蔵菩薩に導かれて浄土へ ・ 今昔物語 ( 17 - 17 )

『 地蔵菩薩に導かれて浄土へ ・ 今昔物語 ( 17 - 17 ) 』今は昔、東大寺に一人の僧がいた。名を蔵満(伝不詳)という。義蔵律師(ギゾウリッシ・東大寺の僧らしい。)という人の弟子である。ある時、蔵満は用事があって、突然に東大寺より京に上ることになった…

地蔵菩薩の弁護を受けた僧 ・ 今昔物語 ( 17 - 18 )

『 地蔵菩薩の弁護を受けた僧 ・ 今昔物語 ( 17 - 18 ) 』今は昔、備中国窪屋郡、大市の郷(現在の倉敷市内)に一人の古老の僧がいた。名を阿清(アショウ・伝不詳)と言う。俗姓は百済氏である。阿清は、もとは紀寺(キデラ・紀氏の氏寺で大和の天香具山の西麓に…

戯れに造った地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 19 )

『 戯れに造った地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 19 ) 』今は昔、 三井寺に一人の僧がいた。名を浄照(ジョウジョウ・伝不詳)と言う。年が十一、二歳ばかりの時に、まだ出家前で同じ年頃の童子と遊んでいたが、戯れに自分で一体の僧の姿を刻み、「これは地蔵菩薩だ」…

父の功徳のお陰を受ける ・ 今昔物語 ( 17 - 20 )

『 父の功徳のお陰を受ける ・今昔物語 ( 17 - 20 ) 』今は昔、播磨国印南郡の歌見の浦(場所は不詳)という所に一つの寺があった。極楽寺という。その寺に一人の入道(ニュウドウ・正規の修行を経ず出家した道心者。)の僧がいた。名を公真(コウジン・伝不詳)と…

六波羅蜜寺の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 21 )

『 六波羅蜜寺の地蔵尊 ・ 今昔物語 ( 17 - 21 ) 』今は昔、但馬前司(前任の国司)源国挙(クニタカ・正4位下、1023 年没。)という人がいた。長年朝廷に仕え、自分の生活にも奔走しているうちに、病気にかかり、にわかに死んでしまった。 すると、同時に閻魔…

地蔵尊の御徳 ・ 今昔物語 ( 17 - 22 )

『 地蔵尊の御徳 ・ 今昔物語 ( 17 - 22 ) 』今は昔、賀茂盛孝(カモノモリタカ・伝不詳)という人がいた。正しい心の持ち主で世を過ごすにあたって十分な分別があった。朝廷や高貴な人の家に仕えて、家は豊かであった。また、深く人を慈しむ心があり、生類を殺すよ…

神官の極楽往生 ・ 今昔物語 ( 17 - 23 )

『 神官の極楽往生 ・ 今昔物語 ( 17 - 23 ) 』今は昔、周防国の一の宮に玉祖大明神(タマノオヤノダイミョウジン)と申す神が在(マシマ)す。その社の宮司に、玉祖惟高(タマオヤノコレタカ・伝不詳)という者がいた。神社の司の子孫だといえども、少年の時より三宝(サンポウ・仏法…

一瞬の信仰心 ・ 今昔物語 ( 17 - 24 )

『 一瞬の信仰心 ・ 今昔物語 ( 17 - 24 ) 』今は昔、源満中朝臣(ミナモトノミツナカノアソン・正しくは「満仲」。清和源氏。997 没。)という人がいた。勇猛な心の持ち主で武芸の道に長じていた。されば、その武芸の道で朝廷や貴族にたいそう重く用いられた。ところで、…

地蔵菩薩像を完成させる ・ 今昔物語 ( 17 - 25 )

『 地蔵菩薩像を完成させる ・ 今昔物語 ( 17 - 25 ) 』今は昔、因幡国高草郡の野坂の郷に一つの寺があった。名を国隆寺(コクリュウジ・未詳)という。この国の前の介(スケ・次官)である[ 欠字。姓が入るが不詳。]千包(チカネ・伝不詳)という人が建立した寺であ…

冥途で出会った二人 ・ 今昔物語 ( 17 - 26 )

『 冥途で出会った二人 ・ 今昔物語 ( 17 - 26 ) 』今は昔、近江国甲賀郡に、一人の下人(身分が賤しい者)がいた。家は貧しく、その日の生活にも事欠くほどであった。ただ、その妻がいつも人に雇われて、機織りの仕事をすることで生計を立てていた。さて、…

地獄からの伝言 ・ 今昔物語 ( 17 - 27 )

『 地獄からの伝言 ・ 今昔物語 ( 17 - 27 ) 』今は昔、仏道を修行する僧がいた。名を延好(エンコウ・伝不詳)という。越中国の立山という所に参って、お籠もりしたが、夜の丑時(ウシノトキ・午前二時頃)頃に、人の影のような者が現れた。延好が恐れおののいている…

小さな地蔵菩薩像 ・ 今昔物語 ( 17 - 28 )

『 小さな地蔵菩薩像 ・ 今昔物語 ( 17 - 28 ) 』今は昔、京の大刀帯町(タチハキマチ・不詳。)の辺りに住んでいる女がいた。もとは東国の人である。何か事情があって、京に上り住むようになったのである。その女人には、少々善心があり、月の二十四日に六波羅蜜…

極楽往生を約束された女 ・ 今昔物語 ( 17 - 29 )

『 極楽往生を約束された女 ・ 今昔物語 ( 17 - 29 ) 』今は昔、陸奧国に恵日寺(エニチジ・福島県磐梯町に所在)という寺がある。この寺は、興福寺の以前の入唐僧である得一菩薩(トクイチボサツ・平安時代初期の僧。藤原仲麻呂の子という説もあるらしい。)という人…